米格付け会社のムーディーズは、「日本は外貨建て債務の履行を優先するだろう」として外貨建て債務格付けを優位にみていた。しかし「世界的な金融危機にあって、政府の支払い優先順位を予測することは難しい」と判断し、これが格付けに反映された。
またS&Pは「政府の債務残高がGDP比で100%に近づきつつあり、その水準が中期的に続くと見られる」として英国の格付け見通しを引下げた。
英国の格付け見通しが引下げられたことで、英国同様に財政状態が悪化の一途を辿っている米国の債券の格付けも引下げられるのではないか、との懸念が高まっている。債券ファンドPIMCOのビル・グロス氏も「すぐにではないが、いずれ米国も引下げられる」と発言している。
こういった事情から、米国市場ではドル安、株安、債券安といったトリプル安になる場面も見られ、米国からの資産逃避が起きつつある。
ドル安が起きているため、ドル円は素直にドル安円高が進むと考えられる。それに対してユーロ円は、ドル円の円高と、ユーロドルのユーロ高にはさまれてしまうため、方向感がはっきりとしない状況になりそうだ。