為替市場では、ここ1ヶ月の間に急激な円高が進行している。対ドルでは円相場は比較的落ち着いているが、その他の主要国通貨に対しては、1ヶ月で10%以上という常識を超えるスピードでの円高が進行した。その最大の原因は、日米以外の主要国の景気が急速に減速し、各国で金融緩和観測が広がっていることが挙げられる。
今週、豪準備銀行(RBA)はおよそ7年ぶりに政策金利を0.25%引き下げていて、欧州でも金融緩和が実施される可能性が徐々に高まってきている。また、米国株式市場が再び急落するなど各国の株式市場で株価が下落しリスクマネーが縮小している。その結果、円のキャリートレードの解消が加速していて、このことも円高要因となっている。
各国の株式市場の下落基調も再び鮮明になってきている。中国の代表的な株式指数である上海総合株式指数は、今週の金曜日も3%以上の下落をみせ、一時2200を割り込む局面があった。年初からの下落率は6割近くにまで達している。その他の新興国、主要国の株式市場も大きく下落しており、日本の株式市場も今週は下落が続いた。
日経平均は当面の目処であった1万2500円を大きく割り込み、年初来安値である1万1691円が視野に入ってきている。世界経済全体の減速が各国の株式市場に反映されてきたということであろう。株式市場の軟調推移は今後も続きそうだ。
円相場は最近にない激しい動きとなっている。特にユーロ円を始めとするクロス円での円高進行はどこで落ち着くのか全く不透明な状態が続いている。値動きも非常に荒くなっており、来週も荒れた相場展開が続きそうである。ドル円での円高は若干進んだものの、一方でドル高基調でもあることから、ドル円自体は比較的落ち着いている。リスクはドル安円高方向にあるように見えるが値動きは比較的落ちついたものとなってくるだろう。
来週の予想レンジはドル円が104-108円、ユーロ円は147-155円。