米国の住宅市場の低迷が続いている。今週発表された米住宅着工件数9月分は年率換算でおよそ119万と予想の128万戸を大きく下回り、実に14年ぶりの低水準となっている。
また、全米ホームビルダー協会が16日に発表した10月の米住宅市場指数は18と過去最低を記録した。今週ポールソン米財務長官も「住宅市場は米国経済にとって明確なリスクである」などと話していて、当局の認識も次第に悲観的になってきている。
また、今週発表された米企業の決算も不調に終わっている。サブプライムローン問題関連業種の決算を見てみると、まず金融機関では米銀最大手のシティグループの7-9月の決算が前年同期比57%という大幅な減益となった。
また、第2位のバンクオブアメリカの決算も前年同期比32%の減益と予想を大きく下回った。住宅関連企業では、住宅建設大手のDRホートンの7-9月の受注額が前年同期比39%減少したことが明らかになるなど、住宅市場の低迷とそれに伴うサブプライムローン問題の影響がかなり深刻であることが改めて浮き彫りになった。
こうした結果を受けて、米国株式市場も下落傾向に転じた。
NYダウ平均株価は10月11日に1万4198ドルの史上最高値を記録したが、今週に入って、米企業の低調な決算が相次いだことから反落し、1万4000ドルを再び割り込んだ。来週以降も決算の発表が続くことから、更なる下落の展開も十分に考えられる。
原油価格の上昇が止まらない。今週、WTI原油価格はとうとう90ドルに達した。一部には投機資金の流入による一時的な上昇であるとの見方もあるものの、このまま上昇傾向が続けば、米国経済にとっては更なるマイナス要因となる。
また、景気減速とインフレ懸念が共存する状態になれば、米国経済にとってはスタグフレーションという最悪の状態に陥る可能性も広がってくる。
来週は米国経済の低迷を背景としたドル安圧力がドル円の上値を重くする展開が続くであろう。米株価が不安定な状態では円高圧力も高まるため、円全面高の展開の可能性もある。
今週末行われている7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で為替問題に関しても、新たな合意がなされれば、大荒れの展開になる可能性もあるので、結果をよく見ておく必要がありそうだ。