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2007年8月18日 放送

サブプライムローン問題が世界の金融市場を大混乱に陥らせている。サブプライムローンの延滞率が上昇し、こうしたローンを担保とした証券の価値が低下。多くの投資家が大幅な損失を被っていることがそのきっかけとなっている。今週発表された米住宅着工件数7月分は年率換算で138万戸となっているが、これは1997年1月以来、約10年ぶりの低水準だ。住宅市場の低迷は鮮明になってきており、サブプライムローン問題が実体経済にも影響を与えていることが明らかになっている。

サブプライムローン問題は他の証券市場にも飛び火し、投資家の損失は更に拡大している。サブプライムローン市場で痛手を負った投資家の中から、その損失を最小限に抑えるため、これまでの投資を一斉に手仕舞う動きが出てきた。直接的なものは米国株式の下落であるが、各国の株式市場でも同様の動きが見られる。更に為替市場でも円高が進んでいるために、日経平均も大幅な下落を余儀なくされている。

為替市場も大変動に見舞われている。日本の低金利を背景に内外投資家が円売りを続けてきたが、その巻き返しが継続的に起きている。その結果、ドル円相場は、今週木曜日には1ドル111円台にまでドル安・円高が進行。また、市場規模の小さな通貨に対して円高傾向が目立っていて、例えばここ数年、高金利で人気の高かったNZドルは僅か3週間足らずで20%以上の円高が進行した。高い金利を求めて市場規模の小さな通貨に大量の資金が流入してきたが、その反動が起きているということである。

クレジット市場の市況悪化、株式市場の下落、為替市場での円高だけではなく、本来、金融市場が混乱した時に安全な投資先として選ばれる金市場までも下落している。こうした動きは、投資家がともかくリスクを軽減する、或いは損失を埋める必要に迫られ、金までをも売却している結果と考えられる。投資家の被った損失の深刻さを物語るものと言えよう。

サブプライムローン問題の波及で市場は混乱状態に陥っている。しかし、国内個人投資家、海外のファンド筋などの動向を見ると、円売りポジションは今週大幅に減少した。若干まだ、円売りが整理されていないため、依然円高リスクは残るものの、今週のような大幅な円高傾向にはなりにくいと考えられる。ただ、今回の混乱の余波は続き、値動きの荒い展開は続きそうだ。

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