2007年 3月3日の放送
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中国政府は26日、国務院が、違法な株式売却など株式市場の違法行為を取り締まるための特別作業部会を承認したと発表した。この発表を受けて、翌27日には中国株式市場が大混乱となり、中国株式市場の代表的な上海総合指数は一日で9%以上の大幅な下落となった。
違法行為の取り締まりで株価が大きく下落するという展開になっていることが、中国資本市場の脆弱さを物語っている。
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また、今週発表された米新築住宅販売件数1月分は、事前の予想を大きく下回り、年率で93万7000千戸と2003年の2月以来の低水準となった。最近、低所得者向け住宅債務の焦げ付きが目立ち始めている中での今回のこの結果に、米国経済への懸念が再浮上してきた。
グリーンスパン前FRB議長が年後半に米国経済は失速する可能性があると発言したことも市場の不安感をあおった。
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中国株式の急落の影響、米国住宅市場の落ち込み、グリーンスパン前FRB議長の発言などを受け、米国株式市場が急落。27日のニューヨーク市場では、1日で400ドル以上の大幅な下落となった。更に、連鎖反応は日経株式にも波及し、28日の東京株式市場では、一時1日で700円以上の大幅な下げとなっている。結局1週間で見ると、約1000円程度の下落となった。
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こうした、株式市場の混乱により、ヘッジファンドなどの投資家が、各金融市場でのリスク資産の処分にでた。為替市場では、円売りポジションの大幅な解消が発生し、急激に円高が進行、ドル円も一時116円台にまで下落している。
低金利の円で資金調達をして新興国の株を購入するいわゆる「円キャリートレード」が解消され、円買いが発生するのではとの連想が円高に拍車をかけている面もあるようだ。
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最近の円高の展開は株式市場の混乱が原因となっている。そのため、株式市場が落ち着くまでは、為替市場も不安定な動きが続く。混乱は一旦収まっているものの、第2波がやってくる可能性はまだ残されている。仮にそうなれば円高は更に進行し、ドル円も115円程度まで下落する可能性もありえなくはない。
今後の方向を占うのに非常に重要な一週間となるであろう。