2007年 2月24日の放送
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日銀は2月20−21日に開催された日銀金融政策決定会合で0.25%の利上げの実施を決定した。今回の利上げに関しては関係者の中でも意見が分かれていた。前回の会合では利上げを主張したメンバーが3名であったため、今回は利上げが決定されるとしても僅差ではないかという声が多かったが、終わってみれば、岩田副総裁を除く8名が利上げに賛成するという雪崩現象となった。
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会合後の会見で福井日銀総裁は「実質2%程度の成長が安定的に続くと考えた場合、物価水準が低くても、0.25% とか0.5%という金利水準は相対的に低い」という発言をした。今回は「フォワードルッキング」として利上げをするという発言をすると考えられていたが、「正常化」という観点での利上げの説明をしたことに日銀の本音が見える。つまり、インフレ率は今後も上昇していかないと考えていることを初めて明らかにしたのである。
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利上げ後の金融市場の動きが注目されたが、株式市場は利上げ実施後も堅調に推移している。元々地合いが強い中、利上げによって、銀行株などが好感されることとなった。また、利上げ後の円安傾向によって輸出企業の株も好調である。日経平均も1万8千円をしっかりと超えて安定的な上昇傾向に入っている。
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為替市場では、利上げ発表直後こそ円高に振れる局面があったものの、その後は逆に円全面安の展開が続いている。今回利上げが実施されたが、次の利上げのタイミングは夏以降になるため、依然として相対的な低金利が続くことになる。また、利上げを待ってから、円売りを開始したいと考えていた投資家が沢山見受けられたので、こうした動きにもあまり違和感はない。ドル円が年初来高値近くまで上昇し、ユーロ円もいよいよ160円の大台が視野に入ってきた。
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今週の流れを受けて、来週も円安の流れが続きそうだ。しかしながら、季節的に考えると、年度末決算を迎えるこれから数週間は国内機関投資家によるいわゆる「益出し」の動きも見られるであろう。こうした動きが一方的な円安に歯止めをかける可能性もある。緩やかな円安の展開になっていくと予想される。