2007年 2月10日の放送
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先週の外為市場は、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の中で円安問題がどう扱われるかに注目が集中、各国の要人発言に反応して乱高下する展開となった。G7が無事終了すれば、市場の注目は次の日銀の金融政策に移っていくと予想される。
全国消費者物価指数12月分を見る限りは、物価は下落傾向にあり、インフレの抑制のために利上げを実施するのは困難となっている。
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このところ日銀幹部は「フォワードルッキング」という言葉を多用している。これは、足元がインフレ傾向でなくとも、今後インフレになる予兆があれば、前倒しに利上げを実施するという考え方を示しているわけである。物価指数が上昇していかない現状では、こうしたロジックでなければ利上げを実施するのは困難である。
そこで注目されるのが、今度の金融政策決定会合に先立って発表される06年10-12月期GDPの結果だ。1月の利上げ見送りが国際社会の批判を浴びていることから、GDPの数字さえよければ利上げをしやすい環境にあるともいえる。
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今回のGDPは前期比年率で+3.5%と大きく伸びることが予想されている。しかし、日銀が利上げに踏み切るためには少なくともこの事前予想を上回る必要がある。予想がかなり高いため、同時にGDPの中の消費部門にも注目が集まる。消費が堅調であれば、その後の物価上昇が期待されるとの考え方から利上げを実施する可能性がでてくる。
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先週、ECBの定例理事会が開催され、金利の据え置きを決定した。金利の据え置きは、大方市場の予想通りの結果であったため、大きな驚きはなかった。しかし、トリシェECB総裁は理事会後の会見で、インフレ動向に「強い警戒」が必要と発言、次回3月の定例理事会での利上げの可能性を示唆した。
G7において、ユーロ高円安に関する懸念が盛り込まれなければ、来週以降ユーロ円は再び上昇し、160円に到達する可能性もでてきた。
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先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議で、最近の円安に関して何か特別な声明が発表される可能性は低い。もし、声明文で円に限定した言及があれば大幅な円高になるが、そうした公算は低く、週明けの外為市場では円安を強く意識することになるだろう。ただし、15日に発表されるGDPの結果がはっきりするまでは、大きく円安に傾くとことはないであろう。