2006年 12月16日の放送
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今週金曜日に日銀短観が発表された。注目の大企業製造業 業況指数は25と予想通りの結果となった。また、先行きに関しては予想23のところ22とこれも予想通りであった。企業の景況感はここ2年間確実に改善してきている。しかしながら、GDP指標の中身などを見ると国内の民需が前期比割れしてくるなど、不安材料もある。
日銀は早急な利上げを示唆する発言を繰り返しているが、今回の日銀短観は12月の利上げを促すほど強気になれる結果とはなっていない。利上げは年明けの1月ないしは2月に持ち越される可能性が高くなったと言えよう。
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一方の米国経済であるが、こちらも底堅い展開を見せている。今週発表になった米国小売 売上高11月分は前月比+1.0%と再び前月比でプラスの水準に回復してきている。米国景気弱気派は住宅市場の減速が消費にマイナスの影響を及ぼすと指摘しているが、発表された数字を見る限りそうした傾向は起きていない。クリスマス商戦の出足も比較的好調と伝えられている。来年以降の動向は以前不透明なものの、当面米国経済の底堅い展開は続きそうだ。
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日米の株価はともに堅調に推移している。米国は住宅市場に懸念があるものの、企業業績は総じて好調。8月以降の金利据え置きも企業業績にとってプラス効果ということで堅調に推移している。国内消費の強さも株価を押し上げる要因となっている。
日本の場合、国内の民需は強くないものの、世界的な好景気の恩恵を受けて、企業業績は好調である。今回利上げが見送られれば、株価へ更なる追い風になるかもしれない。今後年末にかけて、日米とも株価は堅調に推移すると予想している。
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また、外国為替市場では、好調な米国経済と日銀による利上げの先送りの可能性を受けてドル高円安が進行している。一時、米国経済の冷え込みを材料に欧米の投資家がドルを売り込み、ドル円も一時114円台にまで、下落する局面があった。しかし、114円台では、国内投資家の円売り圧力が激しく、その後、米国経済指標が好転すると大幅にドルが回復する展開となり、15日は1ドル118円台にまで上昇してきている。
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来週は円安が継続的に進行すると予想している。18-19日に実施される日銀政策決定会合では、金利の据え置きが決定される可能性が高い。万が一、大方の予想に反して利上げが実施されば大きな波乱となろうが、その可能性は極めて低い。こうした波乱要因さえなければ、来週はゆっくりとした円安基調が続くであろう。ただし、119円以上の水準では高値警戒感からドル買いが手控えられると予想されるため、円安のスピードは緩やかなものとなろう。