2006年 12月9日の放送
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今週の市場の関心は日銀の利上げがいつ実施されるかという点に集中した。ここのところ、日銀関係者が相次いで講演などを行い、年内の利上げの可能性を排除しないというコメントを繰り返している。
市場の大方の見方は、年度内に利上げが実施されるのはほぼ確実というものであり、注目は利上げの時期に集まっている。現状、12月に実施される見込みは3-4割程度と見ているが、政策決定会合直前の日銀短観の結果次第では、この見通しにも変化がでてくるであろう。
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最近の日本の経済指標を見ると、利上げにとって好材料と悪材料が交互に発表される形となっている。失業率こそほぼ予想通りの結果だったものの、法人企業統計の設備投資は前年比予想+15.3%のところ+12.0%と予想比マイナス、消費者物価指数(除く生鮮品)も前年比予想+0.2%のところ+0.1%と予想比マイナスとなった。7-9月のGDP改定値は予想+1.1%のところ+0.8%とこれも予想を下回っている。
一方、10月の鉱工業生産は予想-0.4%のところ+1.6%と大幅なプラスとなっており、指標によって、強弱がばらばらな状態が続いている。
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今週の日銀関係者の発言を見てみると、水野審議委員は「すべての指標が良くないと利上げができないわけではない」と最近の指標と関係なく利上げを実施する可能性を示唆した。また、西村審議委員も「市場が十分消化していなくても、やらなければならない時があるかもしれない」と微妙なニュアンスの発言をしている。
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現状、12月の利上げの可能性は、まだ、多めに見ても40%程度と見ているが、15日の日銀短観の結果次第では、その翌週に開かれる政策決定会合で利上げが実施される可能性がかなり高まってくる。
注目されるのは、大企業製造業の業況判断指数と先行き指数である。それぞれの予想は25と21。市場では、もう少し強い結果が出るのではないかという見方も出てきている。実際にどんな数字になるのか注目しておきたい。
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TS指数を見ると来週は円安を予想する関係者が圧倒的である。114円台に突入した後の動きがあまりに鈍いことで、円高派の中に失望感が広がっている。日銀の利上げも徐々に市場に織り込まれつつあるという見方もあるようだ。ただ、市場は依然、不透明感が残っているため、まだ方向感が出にくいという面もある。13日のFOMC,15日の日銀短観に注目したい。