2006年 11月11日の放送


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 今週、日銀の福井総裁は、今後の金融政策に関しての重要な発言をした。発言の中で金融政策が後手に回り、問題が起こってから対応するとその後の調整が大きくなるという認識から、金融政策はできる限り前倒しにやっていくという姿勢を明らかにしている。日銀にはバブル期に金利引き上げが遅れ、それがバブルの加速をさせて、その後の大きな調整相場をもたらしてしまったという苦い過去がある。今回はそうしたことがないように前倒しの金融政策をとっていきたいという強い意志を感じる。


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 日銀が金融政策を決定するにあたって重要視している消費者物価指数(除く生鮮品)は、ゼロをわずかに上回る水準でここ3-4ヶ月は推移している。この水準をもって金利の引き上げの根拠とするのは、やや不十分な感じを受けるが、日銀の見解では、物価指数がプラスである以上、インフレ基調が続いていると解釈しているようだ。

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 こうした、発言を聞いている限り、日銀は早ければ12月、遅くとも1月には利上げを実施しそうな様子だが、その前に1つ、重要な経済指標が発表が控えている。来週、14日(火)に発表されるGDP7-9月期の速報値だ。市場関係者の中には今回はマイナス成長になると予想している人も増えてきている。仮にマイナス成長にでもなれば利上げの判断にかなり影響を及ぼす可能性がある。早期に金利を上げたい日銀にとっては、大きなハードルになるかもしれない。

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 為替市場は、円安基調が相変わらず続いている。アメリカの景気先行きに不安がある中で、ドル円こそほとんどレベルが変わっていないものの、他の通貨に対しては、円全面安の展開が続いている。ユーロ円も今週151円台にまで上昇し、ユーロは円に対して史上最高値を更新している。こうした背景には、日本の低金利があると考えられ、円安基調を止めるには日本の金利上昇が1つの条件となってくるであろう。しかし、仮に日銀が利上げをしても、そこで打ち止め感がでてしまえば、低金利継続でかえって円安に拍車をかけてしまう可能性もある。現在の円安傾向は日銀の継続的な利上げを疑問視する市場の見方を反映しているのかもしれない。

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 TS指数は今週も中立という結果になっている。福井総裁のタカ派発言やブッシュ政権の混迷を材料に円高ドル安を予想する市場関係者がいる一方で、来週のGDPが弱いであろうということを予想して、円安が引き続き進行していくと考える専門家もおり、意見が真っ二つに分かれている。ただし、どちらも大きな変動を期待しているわけではなく、基本的にはレンジの中、1-2円程度の変化の中での円高・円安の予想となっている。GDPで予想と大きく乖離するような数字が出ない限り、レンジ相場は続きそうだ。