2006年 10月21日の放送
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インドの株式市場が非常に堅調である。代表的な指数であるSENSEX指数は、今週12,994と史上最高値を更新した。SENSEX指数は今年5月から6月にかけてピーク時から約30%もの急落をしたが、その後は順調な回復をみせている。米国株式の上昇などが後押しとなっているが、根底には非常に強い景気拡大がある。
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インドのGDP実質成長率を見てみると、ここのところ8%を超えて推移している。景気拡大を支える一つの要因として非インド企業のインド進出が考えられる。ここ数年、非インド企業によるインド進出が非常に増えてきている。特にアメリカ、欧州、アジアでは韓国、中国の進出が顕著である。インドを生産拠点、開発拠点として位置づける企業のみならず、2億人を超える中産階級を抱える巨大な消費市場を狙った企業も増え始めている。こうした動きがインドの雇用環境を改善し、更なる景気拡大に寄与することになるであろう。
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インド政府は2007年から2012年の第10次5ヵ年計画を発表しているが、GDPの期待成長率を9-10%と非常に高いレベルに設定している。今後何年間は景気拡大路線を取っていくという意思表示であると考えられる。インドはIT産業などのサービスセクターが有名であるが、今後注目されてくるのは製造業と農業セクターであろう。また、こうした成長のため、遅れているインフラの構築に3200億ドルを投入することを計画しているが、こうした目標がしっかり達成できるかが成長拡大の鍵となってくる。
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また、インドは為替市場が非常に安定している。グラフを見てみると、インドルピーは対米ドルで、ここ3年間10%も変動していないのがわかる。こうした通貨の安定は外国人投資家にインド株式市場投資への安心感を与えるものとなっている。高い経済成長率、強大化する可能性のある消費市場、安定した為替レートなどを好感して、インド株式市場は長期的にはまだまだ上昇の余地があるのではないかと考えられる。
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為替相場のほうは一時期120円を突破しそうな局面も見られたが、その後ドル買い材料が続かず、結局またレンジ相場に入り込んでいる。相場は材料難の中、益々混沌としてきており、今後も方向感のない動きに戻ってしまう可能性が高い。TS指数を見ても、若干の円安予想にはなっているものの、専門家も方向感を持ちにくくなってきているのがわかる。ドル円は117-120円程度のレンジ、ユーロ円も148-151円程度のレンジの中での推移となると予想する。