2006年 10月14日の放送


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 今週、9月20日のFOMC議事録が発表された。その議事録は、「米国経済の成長ペースは鈍化が続く。景気が大幅に下振れするリスクを排除できない」など、景気腰折れに対する懸念を示してる。また、今度コアインフレが徐々に低下する公算が高いとの期待感を示しているが、一方で、そうした効果が現れず、インフレが沈静化しない可能性もあるとの見方も示している。追加利上げの可能性は完全には排除されていない。


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 9月までは米国の経済指標などが予想より悪かったため、利上げ期待が後退すると長期金利は低下するが、金利下落を好感して株価は上昇するという関係になっていた。しかし、ここにきて、良好な経済指標が出始め、利上げ期待が高まり、長期金利が上昇。それとともに、景気拡大を期待して株価が上昇するという関係に変わってきている。市場が米国経済の先行きに対して、強気の見方をし始めていると考えられる。

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 また原油価格の下落により、米国内でのガソリン価格が2割から3割程度下落している。天然ガス等の価格も同様に下落しており、こうしたエネルギー価格の下落によって、個人の資金に余裕ができ、その分が消費に回るのではないかという予想も出てきている。これから冬場にかけてクリスマス商戦が始まるが、その動向に注目が集まっている。

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 こうした米景気に対する強気の見方を反映してドルも上昇してきている。ドル円は今週に入って119円台に上昇してきているが、これは北朝鮮の核実験による地政学リスクによる円売りというよりは、米国経済堅調を背景としたドル買いが原因と考えたほうがいいであろう。目先は120円という心理的な壁があるが、FRB再利上げの期待が高まれば、再び、ドルが上昇し120円を超える局面も出てくる可能性がある。しかし、昨年の高値121.40円を超えるかといえば疑問が残る。

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 TS指数を見ると市場関係者は円安を予想している。安倍政権の下で日銀が利上げをやることは困難ではないかとの見方があり、当面円高の材料が見つからない。そんな中で、日本の投資マネーが徐々に海外へ向かい、緩やかに円安になると考えている人は多いようだ。レベルがかなり円安にきていることから昨年の後半のような大きな円安トレンドにはならないであろうが、しばらくドル堅調、円軟調の展開は続きそうである。