2006年 9月23日の放送


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 今週の20日、アメリカでFOMCが開催され、短期政策金利を現状の5.25%に据え置くという決定がなされた。同時に発表されたプレスリリースを見ると、前回の8月のFOMCの内容とそれほど大きな認識の変化は見られない。しかし、景気の判断については、住宅市場の冷え込みが更に加速しているという認識を持っていることが伺える。また、原油などエネルギー価格の最近の下落も今後のインフレを抑制する効果が期待でき、当面金利の据え置きは続きそうである。


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 FOMCが落ち込んでいると表現をした住宅市場であるが、今週、それを裏付ける指標の発表があった。8月の住宅着工件数は、166万5千戸と、7月の水準ばかりか、事前の予想175万戸をも下回る結果となっている。

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 また、今週21日に発表された9月の「フィラデルフィア連銀/製造業業況指数」も-0.4と、2003年4月以降はじめてのマイナスという結果になった。ちなみに事前予想は14.0、前月は18.5である。このところ、発表された経済指標が弱いと市場は金利下落、ドル下落、株価上昇という反応をしていたが、今回は企業側の景況感も悪化していてきているということで、株価も下落するという市場の反応となっている。

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 8月の金利据え置き決定以降、じりじりと下落してきた長期金利は、ここ1週間の間に出た弱い指標の影響を受けて、下落傾向に拍車がかかっている。また、原油価格の下落も長期金利の低下を加速させる要因となっている。2年余にわたる金利の上昇局面を経て、インフレリスクが沈静化しつつあり、FRBは当面金利を据え置くであろう。状況が進めば、今度は利下げが視野に入ってくる可能性も近い将来に浮上してくるかもしれない。

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 先週は関係者の中で円高・円安に意見が分かれていたが、今週は円高予想に傾いている。今週発表になった弱い指標が予想に反映した形だ。しかし、依然レンジの範囲内での動きにとどまっており、アメリカ経済の動向も方向を決め付ける段階にはない。もうしばらく様子を見たいというのが大勢であることを考えると、狭いレンジで推移する展開は今しばらくの間続きそうだ。