2006年 8月12日の放送


< 1 >

 8月8日に開催されたFOMCにおいて、政策金利の据え置きが決定された。FRBは2004円6月より継続的に毎回0.25%の利上げを実施し、2年余りで4.25%金利水準を引き上げてきたが、今回初めて利上げを見送る形となった。直前に発表されたGDPや雇用統計が予想をはるかに下回る結果であったことが要因と考えられる。

しかし、声明の内容は前回とほぼ同じ内容にとどまっており、9月のFOMCでの判断は今後の状況次第ということになろう。


< 2 >

 また、日銀も11日、政策決定会合を開き、金利の据え置きを決定している。決定後の記者会見で、福井日銀総裁は年内の利上げの可能性に関して、きわめて中立的なコメントにとどめている。

日銀もFRB同様、今後の経済指標などの景気動向を見ながら慎重な金融政策の運営を行っていくものと考えられる。

< 3 >

 11日に発表された2006年第2四半期のGDP実質成長率は前年同期比で+0.8%と予想の2.0%を大きく下回った。また前回、前々回と比較してみても、減速傾向にあることが見て取れる。

一層の利上げには底堅い景気回復が必要であり、今回のGDPの弱い数字は今後の日銀の政策決定にも影響を与える可能性が考えられる。

< 4 >

 日米の金融当局の姿勢が不透明なため、金融市場も方向感を失って、揉み合いの展開になっている。円相場も114円、115円台を中心とした、狭いレンジでの展開になっており、株式市場も1万5000円台で揉み合う動きとなっている。

来週、夏休みシーズンのピークを迎えるということもあり、当面は最近のレンジを抜けるのは困難な状態となっている。

< 5 >

 為替相場のほうは、すっかりレンジ相場の様相を呈している。しかし、市場関係者の予想を見ると、来週は円安を予想する関係者が多い。昨日の日本のGDPの数字が弱かったことや、日本と米国が金利を据え置いたことで、再び絶対的な金利差に注目が集まるということを材料にしている。

しかし、基本的には、依然材料難の状態は続くと考えられ、米国経済の先行き懸念も根強く残っているため、当面狭いレンジでの展開が続くと予想している。