2006年 8月5日の放送


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 8月3日、ECB(欧州中銀)が政策金利を0.25%上げて3.00%とした。また、それに先立ってBOE(イギリス中銀)も政策金利を0.25%上げて、4.75%とした。ECBの利上げは市場で事前に予測されていたため、大きな反応は見られなかったが、BOEの利上げは予想外であったため、利上げを受けて英ポンドが急上昇している。4日の東京市場では、対円で7年ぶりとなる218円台にまで上昇した。


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 欧州大陸は、景気が徐々に回復してきている。ユーロ圏のGDP実質成長率は2005年の第1,2四半期を底に上昇基調に入ってきており、直近では2%の成長率にまで、回復してきた。

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 一方、インフレ懸念は依然くすぶっている。ユーロ圏の消費者物価指数を見てみると2005年の後半から少しずつではあるものの上昇してきており、足元も前年同期比で+2.5%と、ECBが目標としている+2.0%を上回る水準で高止まりしている。こうした動きを受けて、ECBは昨年の11月より、利上げを開始したが、現状でも3.0%と依然低い水準に留まっているために、インフレ沈静化には不十分であろう。今年後半はまだ利上げを継続していくものと考えられ、ユーロ相場もまだ、上昇の余地は十分にあると予想される。

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 状況はイギリスも同様である。イギリスも物価指数が一時下落基調に入ったものの、今年の春先から、原油高などの影響から、再び上昇基調に入り始めている。その結果今年5月の消費者物価指数は前年同期比+2.2%と再び2%を超える水準になってきている。

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 景気動向も堅調である。英国では05年度住宅価格の上昇率が急低下し、景気の腰折れが心配されていたが、昨年の後半より再び上昇し始めた。英国で景気動向を占う際には、アメリカ同様、住宅市場の動向が重要視されており、住宅価格の回復は景気の堅調さを物語っているということができる。こうした背景から、BOEは早期の利上げに踏み切ったと考えられるが、欧州大陸よりは金利水準も高いこともあり、年内は今回の利上げの影響を見極めることになると予想している。

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 先週同様、為替相場は相変わらずレンジ相場の展開となっている。ポンドの予想外の利上げにより対ポンドでは円安の展開になっているものの、その他の通貨に対しては、円相場は方向感なく動いている。来週は8日にいよいよFOMCを控えており、その結果に相場が大きく影響を受けるであろう。ただ、今回利上げをするにしろ、休止するにしろ、利上げの継続が最終局面に来ている可能性は高く、ドルの上値はどうしても重くなってくると考えている。