2006年 7月15日の放送


< 1 >

 7月14日、日銀は約6年ぶりにゼロ金利を解除した。無担保コール翌日物金利を0.25%利上げし、公定歩合も0.3%上げた。ゼロ金利の解除はメンバー全員一致ということで、日銀のコンセンサス型の政策運営のやり方が鮮明になったといえる。

  また、現在の日銀は市場にインパクトを与えないようにメディアなどを使って事前に市場に織り込みさせる市場コンセンサス型の手法もとっていることということができる。


< 2 >

 こうした日銀の市場コンセンサス型な手法によって、市場は利上げを事前にほとんど織り込んでいた。そのため、実際に発表になった金曜日には長期金利はむしろ低下し、為替市場も円安に振れるという動きをしている。

  また、声明で、「今後当面の間は緩和的な政策を取る可能性が高い」とあったことで、年内はせいぜい後1回程度の利上げにとどまるとの見方が市場に広まったことも反転の材料になったと考えられる。

< 3 >

 日銀の利上げについて市場はうまく消化したが、一方で非常に心配な材料も出てきている。それは原油の再上昇である。イスラエルがレバノンに軍事攻撃を仕掛けたことで、中東の政治不安が更に広がり、原油市場に悪影響を与えている。

  こうした紛争が長期化すれば、元々需給が逼迫している原油市場にさらなる打撃を与え、原油価格が急上昇していく可能性も否定できない。

< 4 >

 こうした原油の高騰を嫌気して、アメリカの株式市場が崩れ、その余波を受ける形で日本の株式市場も再び下落している。金曜日の東京市場では、日経平均は再び15000円を割る水準で引けた。

  原油価格の高騰は、先進国にスタグフレーションをもたらす危険性をはらんでおり、当面原油価格の動向に市場の注目が集まっていくであろう。

< 5 >

 TS指数は先週の円高予想から一転して円安予想に傾いている。こうした傾向は、最近の方向感のない相場展開を象徴してるかのようである。

  今後は原油価格の動向に注目が集まる中が、その影響はグローバルに広がるため、為替相場は方向感が出しにくい状態にあるということが出来る。依然、狭いレンジでのもみ合いの展開が続くであろう。