2006年 6月24日の放送
< 1 >
4月から5月にかけて、世界中の市場で株価が大幅に下落したが、中でもインド株式市場は他の市場に比べて大きな下落幅となった。代表的な株式指数であるセンセックス指数は高値から30%以上ものマイナスとなり、一時期9000を割りこんだ。しかし、ようやく大幅な調整がひと段落し、他の株式市場同様、インド株式市場も落ち着きを取り戻してきている。インドの株式市場のPERは平均して16-17倍程度。現レベルも16倍程度ということで、適正な水準に落ち着いてきているということがいえる。
< 2 >
元々、インド株式市場は高い経済成長率を背景に堅調に推移してきた。先日発表になった、2005年通年のGPD実質経済成長率も年率で+8.4%と上方修正されている。更に、同時に発表になった2006年第1四半期のGDP実質成長率は年率で+9.3%と昨年の平均を大きく上回っており、足元の景気が非常に強いことを裏付ける結果となった。
< 3 >
更に最近の鉱工業生産の動きをみても、2006年4月の伸び率が年率で+9.5%と相変わらず強い。また、長期の視点で考えてみても、インド市場が非常に有望である。国立人口問題委員会は、労働人口の全人口に占める割合が2001年の57.7%から2026年には64.3%に伸びると推計しており、こうした傾向は消費、生産の両面から景気拡大を支える。
< 4 >
一方、為替市場は海外からの旺盛な資金流入にもかかわらず、緩やかなインドルピー安が続いている。こうした緩やかな通貨安はインドの製造業にとっては追い風であり、今後の輸出企業の企業業績の伸びを後押しすると考えられる。
< 5 >
インドの中央銀行の外貨準備はここ3年ほど、ずっと増加を続けてきている。急激な外資の資金流入に対して、介入等により中央銀行が適切に市場をコントロールしているために、外貨準備が増加傾向にあると推測される。従って、今後も通貨は安定すると考えられ、その点からも更なる景気の拡大が期待される。以上の環境を考えると株式市場は長期的に今後も上昇していくと見られる。
< 6 >
為替相場であるが、116円台に突入してきたことで、市場センチメントも円安方向に傾いている。政治サイドからの円高圧力が一服して金利差に注目が集まっている中、アメリカの利上げが継続されるという見通しが強まり、ドルの買い圧力が強くなってきている。しかし、米国の景気後退懸念も払拭しきれない中で、更なるドル買いに投資家も積極的になれるかには疑問が残る。4月のG7の前の水準に戻ってきて、その後はしばらくもみ合いが続く可能性が高いであろう。