2006年 5月27日の放送
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4月のG-7以降、円高ドル安の展開が続いていたが、急激なドル安が米国株式の下落を招き、それが、世界中の株式市場に波及、各国で株価が一気に下落した。世界同時株安の動きを懸念してかアダムス米財務長官は通貨を通商政策の道具には使わないと、市場のドル安ムードを沈静化する発言を行った。こうした米国からのドル安牽制発言によりドル先安感が若干低下し、円相場は徐々に落ち着きを取り戻し始めている。
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5月に入ってから、下落を続けていた日本の株式市場も、為替相場の安定により徐々に回復してきている。市場関係者の中では15000円程度までの下落を予想する向きもあったが、為替相場の環境が変化してきたことと、日経平均のPERが20倍を下回ってきたことなどから、株式市場は割安感が広がり、下げ止まったものと推測される。
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また、債券市場では、6月にも日銀が利上げをするのではないかという観測が広がり、一時期、10年物の長期金利は2%を越える水準にまで上昇していた。しかし、急激な円高や株式の下落により、利上げ観測が後退し、長期金利は約0.2%程度低下した。その後、円相場が安定し、株式市場も落ち着きを取り戻したことから、金利の低下も一服してきている。米国のみならず、日本においても、急激な為替変動が他の金融市場に大きく影響を与えるということが証明された形となっている。
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今回の一連の金融市場の反応は、急激なドル安がグローバル経済に悪影響を及ぼす危険性のあることを通貨当局者に知らしめる結果となった。従って、当面は政治サイドからのドル安を誘導するような発言は控えられると考えられる。そうなると市場の注目は再び各国の金融政策に集まるようになる。6月に行われる、日米欧各国の金融政策会合の結果、声明等に十分に注意を払う必要があろう。
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TS指数を見ると市場関係者は円高を予想している。相場自体はもみ合いに入ってきているものの、113円が重い展開になっているため、ドルの回復力に疑問を持つ関係者が多い。政治圧力は弱まったものの、基本的な環境に変化はないため、引き続き、ドルの上値は限られる。当面材料難からも見合いの展開が続くであろうが、中期的には依然ドル安円高のリスクは残っていると考えている。