2006年 4月1日の放送


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 1991年の経済改革以来、経済の自由化を進めてきたが、90年代後半に入ってから、やや景気の低迷を続けていた。その後、マンモハン・シン新首相の元、更なる経済推進政策を実行してきたことにより、ここ3年ほどは再び年率で7%を超える経済成長にまで回復してきている。


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 その間、インドでは大きな産業構造の変化が起きた。1990年当時は、経済全体の1/3を農業が占めていたが、その後、第2次産業が占める割合が上昇。90年代後半からはサービス業の占める割合が急増しており、2005年では全体の約50%を占めている。まさに、他の先進国が過去歩んできた道のりをインドもまさに歩みつつあることがわかる。

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 また、インドはITの技術力の高さに定評があるが、それはここ数年の数字にはっきりと表れている。この表は直近6年間のIT関連の売り上げの推移であるが、ハードウエアの伸びに比べ、ソフトウェアの伸びがはるかに大きいことが見て取れる。欧米のITソフト部門のアウトソーシング先として、ビジネスを拡大してきた結果がここに表れていると言うことができるであろう。

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 一方、金融市場を見てみると、最近の為替レートは非常に安定している。このグラフはインドルピーの対米ドルレートの過去1年間の推移であるが、年間の変動率は6%程度と他の諸国間の為替レートに比べ、はるかに安定した動きとなっている。

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 一方、心配な面もある。昨年までは比較的安定していた物価がここに来て徐々に上昇傾向にある。特に都市部での物価の上昇が顕著であり、今後さらにインフレが進行すると景気拡大の腰折れリスクとなる可能性も否定できない。

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株価指数は上昇が止まらない。ここ2-3年、景気拡大を期待して海外から資金が流入し、直近1年間では6割以上も上昇している。SENSEXのPERはすでに25倍近くに達しているという声も聞かれ、今後も一方的な上昇が続けば、警戒が必要になってくるかもしれない。また、インフレの動向によっては大きな調整が入ることも考えられ、長期的には魅力ある市場ではあるものの、短期的には十分な注意が必要になる可能性がある。

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