2006年 2月11日の放送

< 1 >

 2月9日に行われた日銀の政策決定会合では、7:2の賛成多数で、現状の金融政策を維持することを決定した。しかし、その後の記者会見で福井日銀総裁は、1月以降の消費者物価指数がはっきりとプラスになってくること、景気が着実に回復を続けていることを確認できたと表明。同時に、次回3月の会合以降は量的緩和解除の環境が整ったかどうかの判断がより重要になっていくと、早期の量的緩和解除を示唆する発言をした。


< 2 >

 日銀は元々、量的緩和解除の条件の1つとして、物価指数が基調的にプラスになってくることを挙げている。しかし、11月、12月の物価指数は+0.1%と若干のプラスであり、基調的なプラスというにはまだ弱すぎる数字であった。しかし、1月は0.3-0.4%のプラスと予想されており、こうした数字が続けば、いよいよ量的緩和解除が視野に入ってくる。

< 3 >

 しかし、仮に量的緩和が解除され始めたとしても、現状の30-35兆円の当座預金の残高を0にするまでにはかなりの時間がかかる。この表は量的緩和の歩みを示したものであるが、見てわかるように現状の30-35兆円になるまでには、何度にもわたって目標を引き上げてきた。従って、解除のケースも徐々に金額を減らしていく方法をとると考えられる。

< 4 >

 以上の点を踏まえて考えると、今後の金融政策は春先4月あたりの政策決定会合で量的緩和の解除が開始され、その後約半年間かけて当座預金の目標金額を減らしてゼロまで持っていく。そして、自民党総裁選も終わった秋口あたりに、利上げを実施するというシナリオが現状一番可能性が高い。ただし、利上げには、その時点での景気が依然堅調で、株価も高水準を維持していることが条件となるであろう。

< 5 >

 市場は、量的緩和が解除された後も当分ゼロ金利が続くこともあって、現状、非常に冷静な反応をしている。長期金利も10年物国債金利で約1.6%と11月、12月の水準よりは依然低い。為替相場も、118円台を中心とした落ち着いた動きとなっている。こうしたことから早期の量的緩和解除は、市場にはかなり織り込まれてきたを考えておくほうが無難であろう。

< 6 >

 GSEC指標をみると今週は全く中立の予想となっている。円安予想、円高予想が殆ど拮抗している。材料出尽くし感で為替相場は気迷いの動きをしており、市場関係者も当面、レンジ内の動きが続くとややあきらめムードを漂っているのがよくわかる。円安予想、円高予想が殆ど拮抗している。ただ、最近のドルの上昇スピードがやや速いため、高値警戒感が広がっている。ドル金利上昇傾向が続いている中、金利差拡大でドルが底堅い。しかし120円手前から積極的に買っていくほどの材料も見当たらずしばらく神経質な展開が続きそうだ。