2005年 11月5日の放送

< 1 >

 FRBは11月1日にFFレートを0.25%上げて、4.00%とした。利上げと同時に発表された声明文を見ると、景気に対してハリケーンの影響は一時的で、むしろ復興計画に伴う経済活動の押上を期待するなど、強気の姿勢が読み取れる。また、金融政策が緩和的であるという表現は依然残っており、4%という水準は、低位の水準であるという認識が伺える。グリーンスパンFRB議長も、米国経済は長期的に良好との見解を示しており、FRBの利上げは当面続くと考えられる。

< 2 >

 先週末に発表になった米国の第3四半期のGDPは、年率の伸びがプラス3.8%と予想の3.5%を大きく上回った。内容を見てみると、個人消費の伸びが全体の伸びに大きく寄与していることがわかる。米国景気の行方は、個人消費の動向に左右されるという見方が強い中での今回の結果は、米国経済に対する強気の見方を加速させるのに十分な材料である。金利上昇が住宅価格の上昇を抑え、それに伴って個人消費が鈍化するというシナリオは当面は考えづらくなってきた。

< 3 >

 今週発表になった、ISM景況指数であるが、製造業は予想57のところ59.1、非製造業は予想57のところ60とどちらも予想を大きく上回る結果となった。また、水準としても製造業部門は高水準を維持し、非製造業部門も先月の落ち込みから大きく回復している。企業の景況感から見ても、ハリケーンのマイナスの影響が見られず、むしろ、景気に対する強気の見方を示すこととなった。

< 4 >

 こうした、米国経済の力強さを材料にここのところドル高が進行している。10月は、米国の経済指標が強弱まばらであったため、ドルの方向感がはっきりせず、日本からの資本流出を手がかりに円独歩安の展開が続いていた。しかし、ここのところのハリケーンの影響を反映した後の米国の経済指標が予想を上回る結果が続いたために、一転してドル全面高の展開となっている。今後も米国の指標が強いことが確認されれば、更なる金利上昇への期待が膨らみ、ドル高の流れに更に拍車をかける結果となるであろう。

< 5 >

 GSEC指数は90を超えるという極端な円安予想に傾いている。予想を上回る米国の経済指標が続く中、ドル強気に傾くのも当然といえる。米雇用創出法に伴うドル買いも11月に集中すると予想する声もあることに加え、ここから先のドル売りの注文が細ってきているのも、ドル高予想を更に強いものとしている。年内117-118円と予想する金融機関等も多かったが、来週あたりは大幅な上方修正がでてきそうである。