2005年 10月22日の放送

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 今週、NY,LDNに出張に行ってきたが、そこで、多くの関係者が指摘していたのが、英国経済と米国経済の類似性についてである。英国は米国に先駆けて、住宅価格が高騰。景気も過熱気味であったため、BOEは2003年の11月から金利の引き上げを開始した。その結果、住宅価格は上げどまり、景気も徐々に後退したため、今年8月に0.25%の利下げを実施した。米国も英国に遅れること6-12月で、やはり同じ現象が起きつつある。ここまで、11回に渡って利上げを実施してきたFRDであるが、これからの舵取りが注目される。

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 英国経済から見てみよう。前頁であったとおり、BOEは03年11月より利上げを開始し、3.5%から04年8月には4.75%まで金利を引き上げた。その結果、04年の夏場をピークにGDPの伸び率も減少していき、直近では年率1.5%にまで落ちてきている。更にこれと時期を同じくして、住宅価格の伸びも徐々に低下してきている。それに対応して、BOEは今年8月に0.25%の利下げを実施した。しかし、BOEのキング総裁は、現状のインフレ傾向に強い懸念を表明しており、これからの金融政策の舵取りが非常に注目されている。

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 一方の、アメリカであるが、状況は英国と類似している点が多い。低金利政策により、住宅価格が上昇し、景気も過熱気味にとなり、FRBはBOEが利上げを開始した8ヶ月後の2004年7月から11回に渡り金利を引き上げた。現在は政策金利であるFFレート3.75%となっているが、市場では11月、12月の金融政策会議でそれぞれ0.25%利上げをして、年内に4.25%にまで金利が上昇すると予想している。今後来年に掛けて、こうした利上げの影響がどう出てくるのかを十分注視しておく必要がある。

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 この表は、住宅関連の負債がGDPに対してどれぐらいあるかを示したものであるが、特にこの4-5年で比率が急上昇している。米国では、住宅価格の上昇に伴い、それを担保にローンを組み、消費に回すという消費行動が見られる。その額は50-80兆円とも言われている。今後、住宅価格が下落すれば、アメリカの消費に大きな影響が出る可能性があり、原油価格や天然ガスの価格動向同様、住宅価格の推移もアメリカ経済の不確定要因として、十分に注意する必要があろう。

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 今週のGSECは円安予想に更に傾いている結果となっている。米国金利の上昇期待と日本の個人投資家の海外への投資の継続を理由に挙げる関係者が目立つ。日本からの資本流出は今後も続くと考えられるものの、このレベルからドルを買い進んでいくには、新しい材料が必要であり、ドル円は若干の調整する可能性も否定できない。来週は全体的に円安傾向は続くものの、対ドルでの上昇は限られると予想してる。