2005年 10月8日の放送
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ここのところ、欧米の金融当局が利上げを示唆するような発言を繰り返している。米国では、フィッシャーダラス連銀総裁、サントロフィラデルフィア連銀総裁、或いはグインアトランタ連銀総裁らが、今後もFRBは金利上げを継続していくという趣旨の発言をしている。また、木曜日にはECBのトリシェ総裁が物価上昇リスクに強い懸念を示した。米国だけでなく、欧州でも利上げムードが高まりつつある。
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背景にあるのは、原油高である。米国では、度重なる利上げにもかかわわず、原油高の影響を受けて消費者物価指数が徐々に上昇してきた。8月の消費者物価は年率で3.6%と今年一番の高い数字となった。また、ドイツでは消費者物価指数がずっと2%以下でおさまっていたのが、この9月に2.5%と大きく上昇した。これも、最近の原油高が大きく影響している。原油高の物価への悪影響がようやく現れて始めているのかもしれない。
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物価が上昇する一方で、景気のほうもやや心配の兆しが出てきた。今週発表されたアメリカのISM非製造業景況指数は予想60のところ、53.3と予想を大きく下回る結果となった。10月6日付けの日経新聞によるとマンハッタンのマンションの貨平均価格が7-9月期はその前より12.7%下がった。欧州でもドイツの製造業受注の数字が予想を大きく下回るなど、米欧ともに景気動向を心配させるような材料が出始めている。今の段階で断定は早いものの、世界経済が高インフレ低成長のいわゆるスタグフレーションに突入していくリスクも考えておいたほうがよさそうである。
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中国への投資ブームに沸いていた日本であるが、ここ1年ぐらい、そうした動きに変調が現れている。図は日本の年金の中国ファンドとインドファンドへの投資資産残高を示しているものである。これを見ると明らかなように、中国への投資をインドへ振り替えている動きがおきているようである。インドへの個人の投資信託も2000億円を超えてきており、今後、インド市場が注目されていく動きが加速するであろう。
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今週のGSEC指数は若干円安予想に傾いているものの来週はもみ合いと予想する関係者の人数が非常に多いという結果になっている。投機筋のポジション調整で、ドル高の動きに一服感が出てきていることが大きく影響している。ドル金利の上昇だけでは、これ以上ドルを上昇させるにはやや力不足の感もあり、新たな材料が出てくるまで、しばらく、上記レンジでもみ合いに入る可能性が高いと考えている。