2005年 9月3日の放送
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昨年から低下傾向であった、ISM製造業景況指数は5月を底に2ヶ月連続で上昇していた。しかしながら、8月は市場予想57のところ53.3と事前予想を大きく下回り、再び低下する結果となった。ISM製造業指数が50を下回ると景気定価への転換の目安といわれており、年内にも50を割り込むかどうかに注目が集まりそうだ。
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景況感の低下は、米国全体だけではなく、米国内の各地方においても見られる。代表的な地方の景況感を示すシカゴ販売部協会景況指数も市場予想61のところ、49.2という衝撃的な結果となった。その他にも、今週発表されたミシガン大学消費者信頼感指数も事前予想92.5のところ89.1という結果となり、今週発表された景況感関連の3つの指標とも、米国内での景気の先行きに対する不安を反映した形となった。
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こうした景況感の低下の背景には、原油価格の高騰が考えられる。原油価格の高騰は留まるところを知らず、代表的なWTIの原油価格は70ドル近くまで達した。これには、もともと世界中の原油の重要と供給のバランスが崩れていることに加えて、米国南部を襲ったハリケーンによる石油精製所の破壊なども影響を及ぼしている。こうした、原油価格の上昇による米国景気への悪影響が、先行きの景気に対する懸念となって、現れてきていると推測ができる。
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こうした、景気への不安感を受けて、米国の長期金利も8月の上旬をピークに再び低下傾向に入ってきている。以前は、原油価格の高騰がインフレ懸念となり、FRBによる一層の金利引き上げにつながるという声が多かったものの、ここにきて、逆に景気に対する悪影響を心配する声が大勢を占めるようになってきている。ハリケーン災害への対応という特殊事情も加わって、FRBは9/20に0.25%金利を引き上げてからは、しばらくは様子を見るのではないかという意見が多くなってきている。中には、9/20も利上げを見送るのではないかという声も聞かれ、20日のFOMCは目が離せなくなってきた。
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GSEC 指数は13.6というここ最近にない円高予想に傾いた数字となっている。米国の景気後退懸念という大きなテーマがあることがこうした結果の原因となっている。また、日本の株式市場が堅調なこともこうした円高派の後押しをしているようだ。ただし、こうした極端な傾向があるときは、往々にして反対に相場が動く展開になってしまうことも多いので、実際の動きを注目したい。