2005年 8月6日の放送

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 今週木曜日、ECBは金利据え置きを決めた。欧州景気の景気減速懸念を受けて、市場では年内にも金利引き下げかという期待が一時期膨らんでいた。しかし、ここのところ、急速に金利引下げ期待が後退している。まず、今週発表されたユーロ圏の6月生産者物価指数は欧州内の物価高止まりを示すものとなった。また、6月の消費者物価指数も2.1%と比較的高い水準で推移している。物価の安定を最大目的とするECBにとって、このようなインフレ懸念を依然示している指標が出る中での金利引き下げというのは考えにくいと予想する市場関係者が大勢を占めるようになってきている。

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 また、景気動向にも明るい兆しが見え始めている。先週発表されたドイツのIFO景況指数7月分はドイツ国内での景況感が急速に回復していることを示す結果となった。また、今週発表された、ユーロ圏の6月失業率は8.7%と先月より0.1%改善した。2002年から急速に悪化した失業率であるが、昨年後半の8.9%をピークに頭打ちし、若干ではあるものの改善傾向にあることも欧州景気にとっては明るいニュースである。

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 今月の2日ロシア中央銀行は、自国が採用している通貨バスケットの比率を見直すと発表した。内容は従来ユーロ0.3・米ドル0.7の比率であったものを、ユーロ0.35・米ドル0.65に変更するというものであった。こうした変更が今後中央銀行の外貨準備でのユーロの比率を上げることにつながのではとの思惑が市場関係者の中に広がった。また、その他でも中東、アジアの中央銀行が再びユーロ買いを進めているとの観測も流れ、利下げ期待の後退とあいまって、7月の後半には対ドルで1.19台であったユーロ相場も大幅に回復している。

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 しかしながら、一方のアメリカ景気も依然堅調である。6月に大きな改善を見せたISM景況指数であるが、非製造業部門こそ若干の低下をみせたものの、より重要であるとされる製造業景況指数は2ヶ月連続で上昇し、米国国内の景気マインドの回復が依然続いていることを示すものとなった。ただし、米国景気の好調さは市場折込済みとの声も聞かれるようになり、長期金利の一段の上昇や、ドルの上昇には更なる材料が必要との見方も強くなってきた。

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 GSEC指数を見ると、市場関係者は来週は円安を予想する向きが多くなっている。今週大きなドル高の調整が起き、主要通貨に対して、ドル全面安の展開となったことから、来週は逆にドルが買われやすいと考えている関係者が多い。また、日本の政局を波乱要因としてあげている人も多く、この点も十分考慮に入れておく必要があるであろう。