2005年 7月23日の放送

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 7月21日中国人民銀行は、新しい人民元の改革案を発表した。(1)同日より通貨バスケットを参考に調整した管理フロート制を採用する。(2)7月21日の対米ドル人民元レートを1ドル8.11とする。(約2%の切り上げ)(3)毎営業日、為替レートの終値を発表。翌営業日の売買の中間レートとする。(4)米ドルの対人民元レートの変動幅は上下0.3%とし、その他の通貨についての一定の変動幅を適用する。8月の発表が予想されていた中での、突然の発表に市場も大きく反応したが、内容については予想されていたものと大きな違いはなく、今後は市場の混乱も沈静化していくであろう。

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 通貨バスケット制とは、複数の主要相手国通貨レートを一定の割合で加重平均したものと、自国通貨を連動させる仕組み。ちょうど、いろいろな通貨をバスケット(かご)の中に入れて、1つの仮想レートを作ると考えるとわかり易い。通常は貿易国との貿易額などから比率を決定する。中国の場合はそれぞれの比率については公表しないため、どういう比率になるかはわからないが、各国の貿易額からある程度の推測は可能である。アジアではシンガポールが比較的近いバスケット制を採用している。

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 今回の改革の背景にあるのは、中国の貿易黒字の拡大に対する諸外国からの批判がある。中国の貿易黒字は今年の年初からやや減少傾向になったものの、足元はまた拡大傾向にある。貿易黒字の大半が対米国向けであるため、米国からの批判が激しく、貿易問題にまで発展していた。9月の胡綿濤国家主席訪米に向けて、中国が米国へのある程度の配慮を示したと考えるのが妥当であろう。ただし、中国は国内に農業の競争力維持や、不良債権などの問題を抱えており、極端な改革は出来ない状態にある。大幅な切り上げを要求していた米国が今回の決定を素直に歓迎するかは依然不透明である。

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 今回は対米ドルで2%という小幅な変更にとどまったが、市場は更なる切り上げを期待している。一度、門戸を開いてしまった以上、今後の切り上げを止めるのは困難との声も一部では上がっている。現在市場関係者は、日々上下0.3%という変動幅の中で中国人民銀行がどの程度、対ドルに対する切り上げのスピードを許容するのかに注目している。中国側の今後のスタンスを知るうえで来週以降の人民元の終値の動向から目が離せない。

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 GSEC指数を見ると、先週よりはドル高円安を予想する人がかなり減ったものの、依然過半数を超えている。中国の切り上げは、時期的にはサプライズであったものの、内容は想定の範囲内であったため、ドル円への影響は一時的と考えている市場関係者は多い。来週の人民元のレートの推移を見たうえで判断する必要はあるが、大きな動きがなければ、市場は再び、米国景気や、日本の政局に再度注目すると見ている。