2005年 7月16日の放送
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7月15日付けのフィナンシャルタイムズ1面に人民元の切り上げ観測記事が載った。内容は、米国は中国が胡綿濤国家主席訪米前の8月に人民元切り上げに踏み切ると予想している、というものである。チャールズ・シューマー、リンゼー・グラム両議院が中国製品に27.5%の輸入関税を課す法案の採決延期に同意したのは、中国が来月切り上げる確約を得ているからだという観測もある。しかしながら、仮に8月に中国が何かを実施するとしても単純な人民元の切り上げを実施する可能性は低いと見ている。おそらく、通貨バスケットの採用のような技術的な変更をすると考えるほうが自然であろう。
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米国の景気は引き続き好調である。今週の木曜日に発表された6月の米国小売売上高は市場予測を大きく上回る強い伸びを示した。堅調な小売の伸びは、米国の消費マインドが依然強いことを示している。先週のISM製造業、非製造業景況指数の回復など、ここのところ続く好調な米国経済指標を好感して、長期金利も10年物で4.2%近くまで、上昇してきた。金融市場では年内FRBが4.00%まで利上げをするという観測も強くなりつつある。米国経済の堅調は当面継続すると考えておいたほうが良いであろう
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ここのところ、日本の貿易収支が急減少している。今週発表された5月の貿易収支も季節調整後で8160億円となり、ここ数ヶ月の減少傾向を確認するものとなった。輸出金額が横ばいの中、輸入金額が増加してネットで黒字額が減少している。輸入金額の増加は原油などの資源価格が上昇していることが原因と考えられる。年間十数兆円にも及ぶ貿易黒字が潜在的な円高圧力となっている日本において、こうした傾向は現在の円安ドル高傾向に拍車をかける可能性も否定できない。
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日本の政局がいよいよ混迷を深めてきた。郵政民営化法案の参議院での採決に向けて、14日反対派の綿貫民輔氏らが開いた反対派の勉強会に参院から10名が出席した。18名が反対に回れば法案は否決されるが、18票の読みがいよいよ非常に微妙な状態になってきた。うまく調整を図った上で今回の法案を可決させ、その後小泉政権が早期退陣するという花道論や、否決され衆議院が解散するという予測が飛び交っている。しかしもう1つ第3のシナリオの可能性もある。否決後の解散が閣議決定できず、小泉政権が退陣するという可能性である。いずれのケースにしても、政治の混乱は避けられず、今後の展開から目が離せないところである。日本の政治混乱による更なる円安というシナリオも頭に入れておく必要がある。
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GSEC指数を見ると、先週にも増して円安を予想する関係者が増えてきた。米国景気の堅調さというドル高の材料に加えて、日本の政局混乱や原油高という円安の材料という環境は先週から変化しておらず、対ドル、対ユーロに対して、円が売られていくという展開は今後も続くと予想している。ただ、人民元切り上げ観測による円高圧力で一方的な円安の展開にはなりにくいであろう。