2005年 6月18日の放送
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先週、グリーンスパンFRB議長は、インフレリスクについての懸念を改めて表明した。発言を受けて、今週発表された米国の生産者物価指数と消費者物価指数に市場の注目が集まった。しかしながら、結果は両指標とも予想を大きく下回る数字となり、皮肉にもグリーンスパン議長の懸念をかき消す内容となった。5月は原油価格が下落していたことの影響も多少考慮する必要はあるものの、上昇基調は一段落しており、一部市場で話題になった、年末までに米金利4%までの利上げという観測を後退させる結果となった。
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米景気に関しても楽観的な見方が広がる中、今週発表された景気動向に関する経済指標は、必ずしもばら色の先行きを示すものとはならなかった。14日に発表された米国小売売上高は、市場の予想を大きく下回り、前月比▲0.5%と大きく落ち込んだ。また、17日に発表された6月のフィラデルフィア連銀景況指数も予想10.0のところ▲2.2という結果となった。消費動向は米国経済を支える大きな要因の1つであることを考えると、グリーンスパン議長の景気に対する強気の姿勢とは裏腹に米国経済が腰折れする可能性も考えておく必要がある。
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今週は、週全般を通じて、日本株式市場が堅調に推移した。代表的な日経株価平均指数は週末の金曜日、約2ヶ月ぶりとなる11,500円を越えてのクローズとなった。企業業績が好調なのに加えて、4月の機械受注が予想を上回る数字となったこと、17日に発表された4月の景気動向指数が一致指数、先行指数ともに、速報値から大幅上方修正された(一致指数 44.4%→50.0%、先行指数 25.0%→31.8%)ことなどが好感されている。これから、ボーナスシーズンを向かえることもあり、堅調な流れは今後もしばらく続きそうだ。
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このところ、1.20−1.25%前後で安定推移をしていた日本の長期金利も日経平均の上昇などを受けて、徐々に上昇し始めている。物価上昇率がマイナスの中での長期金利の上昇は、日本経済の底堅さを敏感に感じ取っての先行した動きと理解することもできる。株式市場や長期金利の動向を見る限り、日本景気の回復基調への期待は大きく、次は、この流れが外国為替市場にも波及する可能性も否定できない。先週から続いたドル高円安基調の流れも意外に短期的なものに終わるかもしれない。
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GSEC 指数は50.0となり、全くの中立予想となった。レンジ予想をする関係者は少なく、円高予想、円安予想の両方が対立しての中立という結果が非常に興味深い。輸出企業を中心とした本邦勢のドル売りを目の当たりにした人と、ヘッジファンドなどの激しいドル買いを見た人たちの市場需給に対する見方が、感覚的な面で分かれているという印象を受ける。レベル的には、非常に重要なポイントでもみ合っており、来週は105−109円のレンジを一度上抜けしたドル円がそのままの勢いを持続するか、逆に力尽きてしまうかを占う1週間になる。