2005年 6月4日の放送
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5月29日に行われたフランスの国民投票でEU憲法批准が否決された。更に6月1日にはオランダでも62対38という大差でEU憲法批准が否決された。ユーロ圏の景況感が悪化しているのに加えて、両国国民が欧米型の改革路線による雇用悪化を懸念したということが否決の大きな原因となった。否決の影響を受けて、フランスではラファラン首相が辞任するなど、欧州内の世辞の混乱を今後も招く可能性も出てきた。
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フランス、オランダのEU憲法批准否決を受けて、投資家の中にはユーロに対する信認の低下を懸念する声が高まり、ユーロは対ドル、対円とも急落し、対ドルでは約7ヶ月半ぶりとなる1.21台半ば、対円でも9ヶ月ぶりの132円台前半まで下落した。欧州中央銀行が05年のユーロ圏の実質経済成長率見通しを1.4%と下方修正するなど、ヨーロッパ各国でも景況感が悪化する中、ユーロの売り圧力は強いものの、今回の否決の影響はほぼ織り込んだと考えられ、今後は1.2-1.25レンジでの推移を予想する。
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6月1日にフィッシャーダラス連銀総裁の「利上げサイクルは明らかに、試合の終盤8回に差し掛かっている」「6月末には9回の攻守最終回を迎えるところだ」との発言があったことも影響して、市場では米国の利上げは3.5%で打ち止めというムードが高まっている。米国10年債の金利も4%を切る水準まで低下している。この金利水準では本邦投資家も投資魅力なしと様子見気分が強く、日米金利差の拡大期待のドル買いも一服感が出始めた。
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6月2日、日銀の量的緩和政策の目安である当座預金残高が29.1兆円と目標額の下限である30兆円を初めて割り込んだ。当日日銀が資金供給を見送ったことを、今後の目標額の引き下げを示唆するものであると解釈する向きも多い。海外の投資家の一部も日銀の政策変更を示すものと見て重要視しており、今後、円買いの材料として注目される可能性も出てきた。
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GSEC 指数は先週に引き続き50.0となり、市場は中立を予想している。ドル円は109円をトライしたものの108円台の輸出企業のドル売り注文に押されて結局届かず。米金利に打ち止め感が出ている中、投資家もドル債への投資手控えムードのため、更なるドル高の期待は薄い。日銀の目標額変更の観測が円買いの材料になる可能性は考慮しておく必要あるものの、引き続き上記レンジでの動きか。ユーロはEU憲法否決の影響はほぼ織り込んだと考えられるが、今後の展開が不透明な為、積極的な買いは手控えられる可能性高い。ユーロ円も売り圧力やや強い中、レンジでの動きとなると予想する。