2005年 5月7日の放送
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韓流ブームで注目を浴びる韓国。今回はマクロ経済の概況を紹介する。97年のアジア危機から98年のロシア危機にかけて大混乱に陥った韓国経済だが、99年から2000年にかけてはITブームもあり10%超のGDP成長を示現した。その後やや減速気味となっており、直近3四半期は5.5%⇒4.8%⇒3.3%と、下降気味で推移している。
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上のグラフは昨年の四半期別の個人消費と設備投資、および輸出動向を示したもの(いずれも季節調節済み前期比伸び率)。2004年全体のGDPは4.6%を示現、2003年の3.1%から増大した。だがグラフにあるように、項目を見ると輸出が牽引していることが明白。設備投資は0%前後で推移、個人消費はようやく上向き始めたがそれでも+0.6%程度の伸びである。輸出は第1四半期に+4.3%の高い伸びを示した後若干失速したが、第4四半期には+2.1%の伸びを回復した。
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今後の課題は内需の回復となるが、個人消費の低迷は失業率がなかなか改善しないことにある。2003年以降の景気失速で、企業は新規雇用に依然慎重になっており、大学生にとっては就職難が続いている。ところが3月の失業者数は907,000人となり前月の925,000人から改善に転じた。このため一部には今後内需は回復に向かうとの期待も出始めた。
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このような景気回復期待に水をかけるのが、ウォン高。グラフは2003年以降のドルウォン相場(折れ線グラフで表示、右軸)だが、昨年後半から特にウォン高が著しい。政府は通貨高を阻止するためにコンスタントにドル買いウォン売り介入を行ってきた。グラフのオレンジの棒グラフは、外貨準備高の推移を示すが、すでに2000億ドルを突破した状態にある。しかし介入はあまり効果がない。日本と異なり、韓国の短期金利は現在3.25%もあり、ドル買いウォン売りは逆ざやとなる。政府はなかなか対応に苦慮しているのだ。しかし中国元の切り上げ憶測から韓国通貨の連れ高圧力は去らず、政府は今後も対応に苦しみそうだ。