2005年 1月29日の放送
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昨夜発表された米国2004年第4四半期のGDP統計によれば、同期間の実質GDP成長率は前期比年率3.1%と、第3四半期の同4.0%から低下するとともに、市場の事前予想(同3.5%)も下回った。また、実質GDPをやや長いスパンでみても、2003年第3四半期の同7.4%上昇をピークに、成長率は低下傾向を示している。一方、GDPデフレーターは同2.0%上昇となり、第3四半期の同1.4%上昇から高まったものの、市場事前予想(同2.1%)は若干下回っている。
GDPデフレーターは、昨年第2四半期こそ一時的に同3.2%の高い伸びをみせたものの、ここ数年は同1−2%の極めて安定的な伸びで推移している。また、外国為替市場では、実質成長率が市場の事前予想を下回ったため、一時的にドルが売られたが、その反応はやや小幅なものであった。
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2月1日、2日には、今年初めてのFOMCが開催されるが、0.25%のFFレート引き上げがほぼ確実視されている。FOMCは、デフレリスクの終了にともなう超金融緩和の是正措置として、それまで1.0%であったFFレートの誘導水準を、昨年6月以降の5回の会合において、連続して0.25%ずつ引き上げ、すでに3.25%としている。今年に入っても、FOMCは、FFレートが中立と考えられる3.5%から4.0%の水準まで、毎回の会合において、利上げを実施する公算が高いとみられている。
そこで、過去のドル相場とFFレートの関係を物価上昇を調整した実質ベースでみると、1-2年のタイムラグを持ちながら、緩やかながらも、正(金利が引き上げられれば、ドルも上昇する)の相関関係が存在する。したがって、市場の中心的な予想通り、FOMCが今後も毎回の会合において0.25%の利上げを実施すると、FFレートは、年央に3.25%、年末には4%超まで引き上げられることになり、それが、ドルの上昇を招来する可能性は高いと考えられる。
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また、FOMCが再利上げを発表するとみられている2月2日は、ブッシュ大統領が一般教書演説を行う。今週、議会予算局は、現行の法制度が維持されれば、2005年度(2004年10月から2005年9月)の財政赤字が3680億ドルになり、財政収支の黒字化は2012年まで実現しないとの本年1月時点の見通しを発表した。また、これは、米軍イラク駐留経費の増大等から、昨年9月時点の見通しよりも悪化している。
これに対して、ブッシュ大統領は、今後、景気拡大と新たに導入される税制改革や社会保障改革によって、財政赤字の削減ペースが議会予算局の見通しを大幅に上回る楽観的な見方を強調する公算が高い。また、30日に、イラクの選挙が紆余曲折がありながら実施されたことで、イラクにおける民主化の進展も強調すであろう。したがって、2日の一般教書演説もドルの上昇要因となろう。
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さて、2月4日、5日には、ロンドンで今年最初のG7会合が開催される。過去を振り返れば、85年9月のニューヨークで行われた会合(当時はG5)でドルの秩序ある下落を求めた、いわゆる、プラザ合意、87年2月のパリ会合での為替相場の安定を求めたルーブル合意、95年4月のワシントン会合におけるドルの秩序ある反発を求めた合意等、G7は、歴史的に要所要所で為替相場の方向性を決めてきたといっても過言ではない。
また、今年は、そのプラザ合意から20周年、ワシントン合意から10周年ということもあり、メディアからは、何か新たな合意があるのではないかと、G7が注目を浴びているようだ。しかし、現在、主要国通貨間には、大きなミスアラインメントがなく、しかも、相場変動も安定的に推移しているため、今回のロンドン会合においては、為替は主要議題となならず、共同声明も昨年2月のボカラトン会合以降のものが踏襲される公算が高い。
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以上みてきたように、イラク国民議会選挙の実施、FOMCによるFFレート引き上げ、一般教書演説における財政赤字削減見通しに加えて、G7における為替相場の声明変更がないとの観測が強まれば、来週は、ドルが堅調に推移する公算が高いと考えられる。ドル円相場は、104円ないし105円程度まで上昇するとみている。しかし、G7における中国元切り上げ発表の観測がくすぶり続けている限り、円売りにも限界があろう。また、GSEC指数は41.7%と為替ディーラー達の見方も引き続き均衡している。