2004年 1月24日の放送

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  中国経済が快調だ。昨年第4四半期はプラス9.9%を記録、2003年全体では9.1%の伸びとなり最近6年間ではもっとも高い伸びとなった。輸出だけでなく個人消費も堅調に推移したことが経済成長に貢献した。上は四半期ごとの実質GDP、小売売上高および輸出の前年同期比伸び率。輸出の伸び率は突出しているため右軸に別枠とした。なんと最近は4割増し前後の高い伸びとなっている。小売売上高は一時SARS騒ぎで落ち込んだが、その後は堅調に推移している。

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  このような高成長を支えているのが、マネーサプライの急増である。グラフはM2の前年比推移だが、昨年後半は20%前後で推移しており、大量のマネー供給が行われていることがわかる。人民元の固定レート維持のための介入が大きく影響を与えていることが推測されるが、このため景気は過熱気味で、直近の消費者物価は前年比3%増と大きな伸びを示している。

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  不良債権の問題は依然深刻なものとして残ってはいるものの、総じて市場は中国の先行きに楽観的。このため中国元の切り上げも不可避と見られている。メリルリンチは主要通貨の評価について世界のファンドマネジャーにヒアリングしているが(2004年1月調査)、上のグラフは通貨別に「過大評価」と回答した割合から「過小評価」と回答した割合を引いたネットバランスを示したもの。青い棒グラフは現在の市場レートが過大だと思っている人のほうが多いことを、オレンジ色の棒グラフはその逆を示している。ユーロと人民元に対する評価がそれぞれ突出していることがわかる。ユーロのネットバランスはプラス50に達しており、最近急ピッチで進んだユーロ高に警戒感を高めている。一方人民元の方は最近4ヶ月間ほぼ安定的にマイナス50前後で推移しており、過小評価であると見るファンドマネジャーが大多数いることを示している。中国政府が人民元をどういう形で切り上げ始めるのか、市場の関心は今年もその一点に絞られそうだ。

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  中国を横目に見ながら、猛追しているのがインドである。GDP伸び率は2002年第4四半期を底に反転上伸しており、昨年第3四半期は前年比プラス8.4%を記録した。鉱工業生産も各四半期大体6%前後の伸びを維持している。株価も昨年央から2倍にハネ上がっており(ムンバイSENSEX30種)、さらなる高度成長への期待感が高まっている状況だ。このような景気改善を受け、ムーディーズがインドをついに投資適格債への格上げを決定した(Baa3)。これでロシアと同レベルとなり、さらなる投資資金がインドに流入するとの見方が出てきている。世界経済の次世代の担い手と期待される国は、どうやら中国だけにとどまらないようだ。

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  今週はG7への思惑からユーロが大きく買い戻された。前週はG7でのユーロ高是正懸念からユーロ安ドル高が進んだだけに、今週はその動きを帳消しにした格好となった。20日のアイルランド蔵相発言をきっかけに、ユーロ圏諸国はユーロ高是正に具体策を講じる意図はないと市場は判断、ユーロ買いドル売りを進めるきっかけとなった。このためユーロ円レートも大きく変動し、この2週間ほどで137円台⇒131円台⇒135円台と、激しい動きが続いている。G7までまだ1週間強あるため、今後どのような動き・発言が出てくるか引き続き注目材料だ。ただし米国が現状の為替レートに大きな不満を持っていないことを考えると、今のところG7がドル安トレンドを大きく変えるイベントになることは考えにくい。

 G-SECインデックス速報は41.7とドル安円高派が優勢。