2004年 1月17日の放送
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12月から反転上昇に向かった日本株だが、今年に入っても堅調に推移している。5日の大発会は10787円でオープン、2日に発表された米ISMの製造業景気指数が20年ぶりの高さに上昇したこともあり、輸出関連株中心に買いが集まった。その後円高が進んだため、景気回復シナリオに対する警戒感の台頭から売りが優勢となる展開となったが、携帯電話メーカーのノキアの好決算で欧米の株価が上昇したことで、再び国内株も上昇に転じた。住友信託銀行が公的資金の返済を発表したことで、金融不安が一段と後退したことも好材料となっている。
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さらに、海外投資家による日本株取得が再び活発化していることも株価を押し上げている。上は毎週財務省が発表している週間別対内・対外証券投資の状況データ。12月第3週(12月15日〜12月19日)から3週連続で増えつづけ、直近の1月第1週(1月5日〜9日)は4947億円の取得超となり、昨年9月以来の高水準となっている。今年も海外からの日本に対する期待は高いと言えよう。
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経済指標も好調なものが出てきている。今週14日に発表された昨年11月の機械受注額(船舶・電力を除く)は全体で前月比ではマイナス7.8%の減少となったが、前年比ではプラス13.4%と堅調に推移している。グラフが示すように製造業・非製造業ともに前年比ベースでは伸びており、順調に推移していると言える。特に製造業は、薄型テレビやデジタルカメラの普及の影響で半導体製造装置の受注が増えている。この結果を受け、10−12月期の名目設備投資は再度増加に転じる可能性が高いとの指摘も出ている。
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では、肝心の企業収益動向はどうか。最近の円高で大きく下方修正される可能性はあるのだろうか。昨年10月に大和総研が発表した「第2回業種別企業収益マクロ型予測」というレポートによると、1ドル107円の場合の企業収益予測が出ている(東証一部上場企業、有価証券報告書ベースの単体)。それによると、企業全体の営業利益は03年度が+6.4%、04年度が+7.0%となっており、この程度の為替水準であれば収益への影響は限定的だという。上のグラフは製造業と非製造業の内訳を見たもの。04年度の営業利益は製造業・非製造業ともに高い伸び率を示しており、深刻な影響はなさそうだ。当面は国内経済も株価も順調に推移する可能性が高そうだ。
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9日(金)の海外市場は米雇用統計が予想より悪い内容だった為、一時106円35銭までドルは下落したものの、その後は介入警戒感からドルは反発、106円80銭で越週した。
12日(月)の東京市場は休場。海外市場はトリシェECB総裁が「ユーロの動きに無関心ではない」と述べたことからユーロ売りドル買いが活発となったが、ドル円は106円台後半の静かな動きに終始した。
13日(火)の東京市場はユーロ売り円買いの動きを受け、ドルは対円で106円台半ばへ下落。海外では米ダラス連銀総裁がドル安容認発言をしたことから、ドルは106円台前半へ続落して引けた。
14日(水)の東京市場は106円20銭前後の小動き。海外ではユーロ売り円買いの動きが出て、ドル円は一時106円を割り込む展開となった。引けは106円15銭。
15日(木)は東京市場は106円台前半で小動き。海外も介入警戒感から同レベルでの小動きとなった。
16日(金)の東京市場は106円台前半で推移していたが、夕方に対ユーロでの円買いが強まるとドル円は106円を割り込み、一時105円70銭まで急落した。その後は介入と見られるドル買いを受け、再び106円近辺での推移となっている。
財務省の9日以降の大規模かつ断続的な円売り介入にもかかわらず、依然ドル売り圧力は強い。対ユーロで円買いが強まってきているのも財務省には不利な材料だ。介入は引き続き執拗に行われると見られるがその効果は限定的になっており、当面はゆっくりと円高が進む展開か。
G-SECインデックス速報は31.3とドル安円高派が優勢。一段の円高は不可避との見方が多い。