2002年 12月28日の放送

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  中国は今年体制が大きく変わった。共産党は先月第16回党大会を開催、今後5年間の指導部を構成する中央委員などを選出した。革命第3世代として中国を指導してきた江沢民総書記は退任、後任に胡錦濤国家副主席(当時)が選ばれた。
  胡錦濤氏は1942年12月上海生まれの60歳で、名門清華大学を卒業し64年に入党した後、共産主義青年団の中央委書記局書記やチベット自治区の党委書記などを経て、92年12月に50歳という若さで政治局常務委員兼書記局書記に抜擢されている。その頃から今日の地位が約束されていたとも言え、いわば中国の新しいタイプのエリートが登場したと言えよう。江沢民氏のように戦争や革命などを身近なものとして経験することはなかったが、行政能力にはたけており、今後の中国はこのようなテクノクラート層が指導することになる。

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  注目の政治局常務委員は前回の7名から9名に増えた。江沢民はじめ、朱鎔基や李鵬ら実力者は身を引き、胡錦濤をはじめとする第4世代が新たに台頭した。経歴を見るといくつかの特色が見られる。
  まず出身大学で見ると、清華大出身者が4名いること、あとの5名はエンジニア(理系出身)であることが目に付く。また、地方出身者、特に上海で業務に当たった者が多いという点でも特色がある。
  呉邦国は83年から上海市党委常務委員を務めている。江沢民前総書記は85年から上海市長を務めており、呉邦国氏は当時の部下だ。
  曾慶紅氏は84年に上海市党組織部長を務めており、その後江沢民氏の信頼を得たと言われている。
  黄菊氏も同様の経歴があり、85年に上海市党委副書記、86年に上海市副市長を経て91年から95年まで上海市長を務めた。上海以外では、李長春氏は瀋陽市、遼寧省、河南省などに滞在した経験あり地方経験が豊かだ。呉官正氏は武漢市長、江西省長などを歴任している。

  上海出身者が多いため、今後も江沢民の影響は逃れられないと指摘する声は根強い。江沢民氏との関連で述べると、上海組以外でも李長春氏や賈慶林氏らも江沢民氏の側近と言われている。その意味では、胡錦濤氏が本当の中国のリーダーになるにはもうしばらく時間が必要となりそうだ。

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  行政能力にたけた人々が指導層として台頭してくることは、60年代の日本を想起させる。経済的にも当時の日本に中国は似てきている。上のグラフは、日本の一人当たりのGDP推移(1955年から1978年)と中国の現在の一人当たりGDPを対比させたもの。先頭を走る上海市の一人当たりGDPは3300ドルであり、ちょうど72〜73年ごろの日本のそれに等しい。同様に北京は71年、山東省は66年に該当し、四川は500ドルほどしかないので、60から61年にかけての日本に相当する。
  日本でも60年代といえば、政治的に安定度を増し、新しいテクノクラート層が台頭した時期でもあった。特に池田隼人、佐藤栄作各首相は長期安定政権を作り上げ、日本の高度経済成長に大いに貢献した。カー・クーラー・カラーテレビの3Cブームに沸き、個人消費に火がついたのが60年代初めである。中国も日本と同様の成長パスを歩むのか・・・全ては新指導層の能力にかかっている。