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2002年 12月7日の放送
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5日に法人企業統計が発表された。上のグラフは全産業の設備投資額と経常利益の推移を売上高対比で追ってみたもの。売上に占める設備投資額比率は、もともと50年代から60年代はじめにかけては7〜8%程度で推移していたのだが、その後は2度にわたるオイルショックの影響などで徐々に低下、80年代は3%台前半で横ばいとなっていた。上向きに転じたのが86、87年頃からで、
91年第1四半期には5.2%に達している。その後景気の悪化で再び3%台に低下していたが、このところはその3%すら持続的に切りそうな状況になってきている(直近の今年7-9月期は3.0%ちょうど)。
バブル崩壊後は生産性が下降しているだけでなく、利益を生む投資機会も大きく減少してきていることが一部で指摘されてきているが、このグラフもそれを裏付けていると言えそうだ。
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このような企業の動きを受け、金融機関の預貸率(預金に対する貸出の比率)もここ数年は落込みが激しい。投資機会がないことが資金需要を減らしている。上のグラフは、業態別の預貸率推移(02年は8月までの数字)。従来銀行は“オーバーローン”(貸出が預金量より多いこと)が常態となっていたが、もはや昔の話になりつつある。92年末から今年8月にかけて、預金量は1割増え、逆に貸出は1割減った。信用金庫の預金量は同期間で17%も増えたが、貸出は3%減っている。信用組合の貸出は5割近く(44%)減ったが、こちらは預金が大きく流出したことが背景にある(預金は35%の大幅減)。
このため、今後日本にとって国内での投資機会を増やすことは至上命題になろう。そのために新規参入を妨げる規制などは一段と緩和される可能性が高いと思われる。
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投資の源泉のひとつである売上高が伸び悩んできているのも気になる点だ。上のグラフは、同じく法人企業統計のうち、全産業の売上高推移を80年から四半期別にフォローしたもの。現在の四半期毎の売上高は300兆円程度であるが、これは89年のバブル全盛時代(89年の四半期平均売上高は約270兆円)よりも大きい規模である。デフレがこれだけ進んでいるの中、企業の需要開拓努力には頭が下がる思いがするが、一方で、この不景気で苦しんでいるのは企業であり、個人の懐はそれほど痛んでいないとも言えそうだ。しかし今後は難しそうだ。
日経平均株価は83年頃のレベルに回帰しているのに、売上高がいつまでもバブル時代より高いレベルで推移し、かつ伸びて行くと考えるのは無理があるように思われる。万が一、株価同様売上高も83年レベルに戻るとすると、売上高は100兆円減少し200兆円程度になってしまう。その時は、当然設備投資額も大きく落ち込むことになろう。その意味でも、名目収入を減らすデフレは大敵である。今後も政府内では、デフレ阻止に向けた対応策が声高に叫ばれて行くことになろう。
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やっと、欧州中央銀行(ECB)が利下げを決定した。利下げ圧力が今後一段と高まるであろうことは前回も述べたが、これまでにもプレッシャーはあった。先月は米FRBが早々と大幅利下げを決定したため、逆に利下げを躊躇したドイセンベルグ総裁だが、今回はスムーズに決めたようだ。
上のグラフは、ユーロ圏GDP伸び率(四半期毎の前年同期比)と指標金利である2週間物レポ金利の推移。GDPの成長率はもう2年以上も前から鈍化し始めていたが、ECBが重い腰を上げたのは昨年はじめからで、しかもそのペースは鈍いものだった。ECBは3%を割り込む水準にまで金利を引き下げたことで、「金利は歴史的な低水準」(ドイセンベルグ総裁)とアピールしているが、ドイツ経済の復活は当面見込まれず、今後も引き下げ圧力がかかり続けるだろう。
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29日(金)の海外市場は122円台半ばで取引開始。米国が休日の合間と言うこともあり、総じて動意薄く、122円50銭で越週した。
2日(月)の東京市場は122円82銭でオープン。1日の塩川財務相による「円は150円〜160円くらいが適当」との発言や、須田日銀審議委員によるインフレターゲットへの言及などが材料視され、ドルは123円台半ばまで買われた。海外では、ユーロ圏の小売売上高が予想より悪かったことでユーロ売りドル買いが進んだことなどを受け、ドルは対円でも続伸、一時125円台へ乗せた。その後は円買戻しの動きがあり、結局124円50銭での引けとなった。
3日(火)の東京市場は124円40銭で取引開始。「現状は行き過ぎた円高の調整過程」との黒田発言にドル買い強まり、一時124円台後半まで上伸するなど、ドル堅調な展開となった。海外は材料に欠き、124円50銭をはさんだ小動きに終始した。
4日(水)の東京市場は124円25銭で寄付き後、海外勢がユーロ買い円売りを進めたことからドル円も上昇し、一時125円台に乗せる展開となった。海外では、利益確定のドル売りが出て124円台の取引が中心となり、124円60銭で引けた。
5日(木)の東京市場は124円50銭でオープン、しかし黒田財務官の「円高が行き過ぎていたので、修正されるのは妥当な動き」との発言に海外からのドル買いが集まり急騰、125円台半ばまでドルは上昇した。しかし海外では、テイラー米財務副長官が「塩川財務大臣のドル円相場は150-160円が相当との発言に同意しかねる」とコメントしたとの話が伝わり、ドル売り優勢に転じた。結局124円台後半での引けとなった。
6日(金)の東京市場は朝方124円台半ばまで売られたが、黒田財務官が「円高が調整されている過程は今後も続いていく」と述べた発言などを手がかりに再びドル買いが進み、125円台前半での取引となっている。
このところ動意の乏しい展開が続いていたドル円だが、塩川財務相の発言が大きなインパクトを与え、ひさしぶりにドル円は大きく動いた。キーポイントである125円をブレイクしたことで、今後取引レンジは徐々に切り上がり、130円近い水準まで上昇するとの見方も一部には出てきている。本邦金融当局サイドから繰り返し円高を牽制する発言が出ていることや、日本の景気に一向に改善の兆しが見えないこともドル買いを進めやすくしているようだ。目先は当面のドルの上値を試す展開となろうが、米国経済も不透明要因が多く、大きなドル高はまだ考えにくい。
GSECインデックスは依然50を上回っており、市場参加者は引き続きドル高円安を期待している。
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