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2002年 7月13日の放送
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今週は米国株式市場が荒れた。根強い会計不信を背景に、投資家の信頼感が大きく揺らいでいる。上のグラフ(データは各月末終値)は、米ナスダックのピーク(2000年2月末4696) に日経平均のピーク(89年12月末38915円)を重ねたもの。ピークをつけた後の崩壊の動きは、どちらも似たような推移を辿っている。バブル崩壊のプロセスは万国共通か?
こうして見ると、ナスダックもそろそろ下落から横ばい一服となっても良さそうだが、IT企業への過剰投資の後始末はまだ続きそうだ。
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米株下落の元凶となっている会計不信に対応し、ブッシュ米大統領は9日ウォール街で演説、不正会計企業および関係者へ厳しく当たることを強調した。主な内容は、(1)不正摘発のタスクフォース(対策委員会)の創立する (2)禁固刑期間を2倍の10年に引上げる (3)資料破棄などの司法妨害に対する法律を強化する (4)企業のCEOは、現ルールに基づき、報酬および年次報告書の詳細な説明を投資家へ行う (5)SEC予算増額を認め、人員等を強化する (6)役員の半数以上は社外取締役にする、など。市場は好意的に反応せず、その後も株式の下落が続いた。AWSJ紙は、このような厳しい取り締まりは「大きな政府」への回帰になるかもしれない、と述べている。テロ事件への対応に加え、米国政府はまたひとつ大きな仕事を抱え込んだ。
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一方、日本の経済指標に目をやると、今週は8日にマネーサプライと銀行貸出残高(いずれも6月速報)が日銀から発表されている。マネーサプライ(M2+CD)の平残前年比伸び率はプラス3.4%となり、前月より0.1ポイント低下した。マネーサプライの伸び率は今年3月にプラス3.7%まで上昇したが、4月以降は頭打ちとなっており、3ヶ月連続で低下している。
銀行貸出残高は、6月は485兆8338億円で前年比マイナス4.4%となった(総貸出平残前年比、銀行・信金の合計)。4月のマイナス4.7%、5月のマイナス4.5%から若干改善しているとは言え、相変わらず低迷している状況に変わりはない。一方ベースマネーは、6月で前年比27.6%と極めて高い伸び率を維持している。足元の資金は潤沢に出ているが、それが市場に回らない構図に変化は見られない。企業は借入金の削減に注力しており、銀行もリスクに見合った貸出金利が設定できない先にはローンを控える姿勢を強めている。おカネが滞留する構図はまだ当面続きそうだ。
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坂口厚生労働相は9日、2002年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を報告した。失業率が低下に転じる先進国が増える一方、日本の失業率は再上昇する気配を見せており、雇用問題で日本が「並みの国」になる可能性を指摘した。上のグラフは、主要先進国の失業率推移。現在、日本は米国と同レベル(経済成長率の差から見ると信じがたいが)にあり、その下には英国、上にドイツとなっている。日本の失業率といえば、かつて1〜2%の低さが当たり前の時期もあったが、今や世界的にみても並レベルになっているようだ。実際、日本より低い失業率にとどまっている国には、韓国(3%)、オーストリア(4.1%)、デンマーク(5.1%)、アイルランド(4.3%)、ルクセンブルグ(5.4%)、オランダ(2.3%)、ポルトガル(4.4%)と数多くある。ドイツの直近の失業率は9.8%(6月)だが、このまま日本の景気が低迷を続けると“並以上”のレベルになってしまう可能性もあろう。
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5日(金)の海外市場は、IMFのケーラー専務理事がFT紙とのインタビューで、「ドルが急落するようであれば、IMFが各国に協調介入を求める可能性がある」との考えを示したことから、ドル買いが優勢となった。その後発表された米雇用統計が予想より弱かったため、一時120円を割ったものの、米株が堅調に推移したことで再度ドルは上伸、結局120円40銭で越週した。8日(月)の東京市場では、米会計不信を背景にドル売り優勢の展開でスタート。塩川財務相が115円まで円高が進む可能性に言及したことも、ドル売りに拍車をかけた。120円10銭で寄り付いたドルは急落し、118円台後半で下落した。海外でも、米薬品大手メルク社関連の不正会計疑惑報道などでドルは続落し、118円40銭での引けとなった。9日(火)の東京市場では介入警戒感から118円台後半までドルは反騰するも、その後は輸出企業のドル売りなどで頭の重い展開となった。海外では米株が軟調に推移したため、ドルは徐々に下落。118円ちょうどで引けた。10日(水)は118円台前半でオープン。本邦実需筋のドル売りに徐々に118円を割る展開となった。海外では、米系証券が米シスコシステムズの投資判断を引き上げたため、米株の先物価格が上昇、ドルは118円30銭まで上昇した。しかしその後、米NYダウが300ドル近く下げたためドルも下落に転じ、結局117円65銭での引けとなった。11日(木)の東京市場は117円台後半で寄付き後、対ユーロでの円買いの動きにドル円も下落、117円半ばまで値を下げた。海外では、米株が一時大幅下落したため、ドルは116円51銭まで続落した。その後は買い戻され、116円95銭で引けた。12日(金)の東京市場では、117円前後で寄付き後、徐々にドルの頭の重い展開となっている。
介入の無いまま、ドルはじりじりと値を下げ、結局先週末比で4円近い円高となった。今後は本邦当局がどこで介入を実施するのか、その規模、介入後のさらに押上げ介入があるのかどうか、などが焦点となろう。さすがに115円近辺ではなんらかの行動に出ることも考えられるが、ドル安調整の動きは今後もまだ続くことが予想され、戻りも限定的か。
G-SECドル円指数(12日、速報値)は47.5となり、前回より下落。中立を示す50を下まわっており、やや円高を見込む向きが優勢となっている。
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