2002年 3月 9日放送 マーケット・ナビのポイント

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  米供給管理協会(ISM)が今月に入り、製造業と非製造業の景気指数(旧NAPM)を発表している。製造業の景気指数(季節調整済み)は、テロ事件後の10月に39.50まで落ち込み(50が景気判断の分かれ目)、その後も50以下で低迷していた。しかし2月の景気指数は54.70となり、2000年7月以来約1年半ぶりに50を上回った。個別では、新規受注指数や生産指数などが大きく回復する一方、雇用指数は依然50を下回っている。

  5日には非製造業の景気指数が発表されているが、こちらも58.7と前月の49.6から急上昇し、回復基調を強めている。個別では、雇用指数は低迷しているものの、新規受注指数や在庫水準指数が押し上げ要因となっている。

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  グリーンスパンFRB議長が7日、上院銀行委員会で定例証言を行なった。これは27日に続くもので、通常は同じ内容が繰り返されることが多い。しかし今回は冒頭の原稿部分を修正し、「最近の指標は、米経済がすでに拡大局面に入っていることを示している」との表現を挿入、前回の議会証言を前向きに修正した。

  その証拠として、消費者信頼感の回復のほか、企業の在庫整理が十分進んでいることを挙げている。このため、今後需要に大きな落ち込みがなければ、生産は上昇に転じ、家計の所得や支出の増加に寄与すると見ている。最終需要の動向については慎重な見方をしているものの、この部分の表現も前回より上方修正し、「最近は、最終需要トレンドが上向いている証拠が増えてきた」と述べている。

  先行きの回復の力強さについては、まだまだ慎重な見方を崩していないグリーンスパン議長だが、米株や金利が堅調な動きを見せるなど市場の督促もあり(?)、若干軌道修正したようである。

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  日経平均が爆騰した。2月6日に9420円まで売り込まれたものの、その週末(9日)のG7で不良債権処理やデフレ阻止に向けた政策が議論される、との期待感が株価反転の最初の支援材料となった。その後も、抜本的な不良債権処理を含む総合デフレ対策への期待が株価を押し上げたが、決定打となったのは26日に金融庁が発表した空売り規制強化策。下値不安が払拭されると同時に、空売りポジションを手仕舞う動きが活発化し、翌27日だけで371円上昇した。その後も買い戻しの勢いは止まらず、この1ヶ月で底値から約2500円、25%を超える上昇となった。今週の5日には、米国の証券会社メリルリンチのストラテジストが、日本株の推奨比率を引き上げている。比率の見直しは昨年4月以来という。

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  6日に財務省が2001年10-12月期の法人企業統計を発表した。金額は9兆6861億円で、前年比マイナス14.5%と予想以上の大幅な落ち込みとなり、7-9月期のプラス0.5%から悪化した。製造業全体ではマイナス11.5%(前期はマイナス2.7%)、非製造業全体ではマイナス15.8%(同2.4%)と、それぞれ大幅に悪化している。

  バブル経済崩壊後、設備投資の伸びが前年比プラスからマイナスに転ずるのはこれで3回目。1回目は92年1-3月期で、この時は約3年マイナスが続いた。2回目は98年1-3月期からで、2年間マイナスとなっている。今回がどれほどの長さの調整となるかは未知数だが、上のグラフにあるように前年比プラスの伸び率が続く期間やその勢いは徐々に衰えてきている。個人消費の低迷が続くと、サプライサイドの調整は今後も長引いてしまうかもしれない。

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  4日(月)は、佐藤工業の破綻は不良債権処理を促進するとの見方から株式が暴騰したことを受け、ドル円は133円丁度近辺まで下落。その後も株式が一段高したことで、132円半ばまでドルは下落した。海外でも投機筋等からのドル売りが続き、一時131円台まで下げたものの、その後はドル買戻しが優勢となり132円前半で引けた。

  5日(火)は国内株式が上げ一服となったため、132円半ばまでドルは上伸。しかし海外では再度ドル売りが活発化、一時131円半ばまで下げた。その後は、ドル買戻しの動きに132円前半での引けとなった。

  6日(水)は、田谷日銀審議委員が「経済情勢を反映し、円安になるのなら受け入れる」と発言したことや、ムーディーズが日本国債格付けを2段階引き下げる可能性が高いと述べたことで、一時132円半ばまで上昇。その後はドル売り優勢となり131円後半までドルは下落、さらに海外でも大口のドル売りが持ち込まれ、一気に130円台後半まで値を下げる展開となった。

  7日(木)は日経平均が一段高となったことで、海外からの資金流入期待が高まり、130円を割る展開となった。金融当局から特に円高を牽制する発言が出なかったこともドル売りを加速させ、129円近辺までドルは売られた。海外に入ると、FRB議長の議会証言や米国生産性等米景気の復調を裏付ける内容が発表されたものの、むしろドル売りは加速し、126円半ばまで下落した。その後はドルの買戻しが入り、127円前半で引け。

  8日(金)の東京市場は、黒田財務官から円高牽制発言が出たこともあり、市場は小休止。127円半ばから後半での静かな動きとなっている。

  ドル円相場は、徐々に頭が重くなってきた感はあったものの、ここまでの下落は大方の予想を超えたものであったろう。信用売り規制の強化による日経平均の上昇は、決して市場の信認を得たものではないとはいえ、国内株の一段高を予想する向きは増えている。少なくとも月内は、株が堅調に推移する可能性が高いことから、短期間でドルが再び130円台に乗せることは考えにくい。一方、当局は125円を超える円高を放置するとも思われず、一段の円高には相当神経質になろう。

  G-SECドル円指数(8日、速報値)は46.9(前回比マイナス15ポイント)となっている。いったん円安局面は終了し、若干円高に進むことを予想する市場参加者が増えている。