2001年12月8日放送 マーケット・ナビのポイント

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  全米購買部協会(NAPM)が5日、11月の非製造業景況指数(季節調整済み)を発表した。指数は51.3で、前月の40.6から大幅に改善、景況感の分かれ目となる50を上回った。これを受け、米国株は急上昇、9月5日以来3ヶ月ぶりに10000ドル台を回復した。一方、利下げ打ち止め感から米国債は急落し、10年債利回りは前日の4.66%から4.89%へ大幅上昇した。

  NAPMは、通常月初に発表される製造業の景況指数が有名で、市場の注目度も高い。非製造業の景気指数は97年夏から開始されたが、比較的統計が新しく、これまであまり注目されていなかった。

  中身を見ると、新規受注が48.3と、10月の40.4から大きく上昇した。雇用計画と雇用情勢の指標となる雇用指数も44.3と若干改善した。在庫変動指数は49.5と10月の48.0から上昇、在庫水準指数は67.0と、同68.5から低下した。受注残指数は42.0(10月は40.5)、入荷遅延指数は52.5(同53.5)だった。

  原材料やサービスに支払った価格を表す仕入れ価格指数は、11月は38.5と、10月の41.5から低下した。景気減速を受け、インフレは沈静化していることが確認された。輸出指数は48.5(10月は44.5)、輸入指数は52.4(同49.8)と、ともに前月の水準から改善した。   

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  米国商務省は3日、10月の個人所得・消費を発表した。10月の個人消費支出(季節調節済み、年換算)は前月比+2.9%の7兆1,878億ドルとなり、過去最大の伸び率を記録した。個人消費は、テロ事件後の米国経済動向の鍵を握るファクターとしてその動向が注目されているが、9月は前月比▲1.7%と落ち込んでいた。10月に大きくリバウンドした背景としては、自動車メーカーがゼロ金利ローンを導入し販売促進を活発化した影響が大きい。

  上は、米国貯蓄率の推移。年前半は1%前後で低迷していたが、7月からの減税実施を受けて貯蓄率は2.4%(7月)、4.2%(8月)と反転し、テロ事件が起きた9月には4.6%まで上昇している。しかし、10月の貯蓄率は0.2%へ急減し過去最低水準となった。メーカー側の販促活動を受けて、個人が貯蓄を消費に回したことが伺われる。メーカー側の販促活動が需要を先食いしているとも言え、逆に来年以降、個人消費支出は後退するリスクが高くなっていると思われる。

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  上のグラフは過去40年間の貯蓄率推移を見たもの。60年代~80年代にかけて、貯蓄率は極めて安定的に推移していた。各年代の平均貯蓄率は、8.3%(1960-1969)、9.6%(1970-1979)、9.1%(1980-1989)である。しかし、90年以降は徐々に低下傾向となり、特に最近5年間はその低下ぶりが著しい。

  長期的視野に立てば、90年代の貯蓄率低下こそが異常であり、今後は徐々に5%~10%の水準に回復して行くと見るのが妥当であろう。米景気が減速過程に入ったことや、テロ事件の発生により万一の備えを確保する動きが見られることなども、今後は貯蓄率押し上げに働くと思われる。従って、たとえ年内の個人消費が堅調な動きを示したとしても、それは一時的な現象に終わる可能性が高いと言えるのではなかろうか。

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  内閣府は、2001年7-9月期の国民所得統計速報を発表した。実質国内総生産(GDP)は季節調整済み前期比年率で▲2.2%となった。名目成長率は同▲3.1%だった。99年以降マイナス成長は5回目となり、ほぼ2期に一度はマイナス成長を記録するペースとなっている。2期連続マイナスは98年の1-3月期と4-6月期以来。竹中平蔵・経済財政政策担当相は、「雇用情勢は厳しさを増し、景気は一段と悪化している。世界同時不況の懸念が高まっている」との認識を示したという。

 7-9月期の内訳を見ると、個人消費が前期比▲1.7%と4-6月期に続きマイナスとなった。景気低迷による不安感の高まりが消費を一段と落ち込ませた模様。テロ事件や狂牛病騒ぎが拍車をかけた可能性もある。一方、設備投資は前期比+1.1%の伸びを示し、2期連続のプラス。竹中経財相も「IT投資が予想以上に良かった」と指摘、「IT部門が引き続き経済の中心になって行くことを示している」と分析した。住宅投資も同+1.0%と3期ぶりにプラス成長へ転じ、GDPを押し上げた。公的固定資本形成(公共投資)は同+3.2%だった。

  輸出・輸入は共に減少している。輸出は米国景気の落ち込みなどから4期連続マイナス、7-9月期は前期比▲3.3%となった。輸入も国内景気の落ち込みを反映して同▲4.6%となり、3期連続のマイナスだった。

  デフレーターは前年同期比▲1.5%のマイナスとなり、デフレが深刻化していることが確認された。デフレーターは98年4-6月期以降、14四半期連続でマイナスとなっている。

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内閣府経済社会総合研究所が6日発表した10月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が0.0%と、10ヶ月連続で景気判断の分かれ目となる50%を下回った。先行指数は14.3%と5ヶ月連続で50%を下回り、遅行指数は16.7%と3ヶ月連続で50%を割り込んだ。

  先行指数の14.3という水準は、98年4月に9.1をつけて以来の低水準。この指数は半年程度先の景気動向を占うとされている。当時は9.1をつけた半年後には大幅な円高が示現し株価が急落、10月にはバブル後最安値(当時)である1万2879円まで売り込まれている。ヘッジファンドのLTCMが破綻したことによる世界的な信用収縮の動きや、国内の実質経済成長率見通し(98年度)が戦後最悪になったことなども悪影響を与えた。

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  3日(月)は、エンロンの破綻が米景気回復を遅らせるとの懸念から一時123円半ばまで軟化する局面もあったものの、ムーディーズの日本国債再格下げの憶測や、NAPM景況指数が予想を上回る伸びを示したことなどを材料としたドル買い根強く、124円台前半まで上昇した。4日(火)は、ムーディーズによる日本国債格下げ発表を受け124円38銭まで上昇。その後海外市場で123円台後半まで反落したが、OECDが日銀に外貨資産の購入を促す内容の報告を公表したためドル買いが活発化、124円前半まで上昇して引けた。5日(水)は、11月の米国NAPM非製造業景況指数が51.3と先月の水準から10.7ポイントも改善したため、ドル買い優勢の展開となった。124円50銭近辺までドルは上昇した後、利益確定のドル売りに押され、結局124円台前半で引けた。6日(木)は、いったん123円台後半まで軟化する局面もあったものの、日銀の三木審議委員が為替介入と外債購入のポリシーミックスに言及したことや、青木建設の再生法申請などの報道を受けドルは急伸、一時125円近くまで上昇した。その後は、実需のドル売りなどに押され、124円70銭近辺での引けとなった。7日(金)の東京市場は、朝方発表された日本の7-9月期GDP成長率が2期連続でマイナスとなったことを受け、ドル買い円売りが優勢な展開となっている。

  今後について見ると、米国は株価が予想以上に堅調な推移を示し、先行き楽観論が広がる一方、日本サイドは景気の悪化に歯止めがかからない状態となっており、当面はドル堅調の展開が続きそうだ。しかし、125円を超えた水準では実需の売りなど見込まれるため、短期的なドル急伸を見込む向きは少ない。むしろゆっくりとしたドル高が続くとの見方が支配的。

  下値は122円近辺が限界か。日銀が外債購入に前向きになりつつあること、財務省も円安を支持する姿勢を続けていることから大幅な円高調整は見込みにくい。G-SECドル円指数(7日、速報値)は52.9となり、前週比10.0ポイントの下落。125円近くまでドルが上昇したことで、一段のドル高円安の進行にはやや慎重な見方が増えてきている。