第192回 2004年8月21日放送 日本の将来を担う真の国際人を育てようと、高校生を対象に開かれた2週間の合宿セミナー「日本の次世代リーダー養成塾」。参加した180人は、塾長の奥田碩・日本経団連会長をはじめ、明石康・元国連事務次長、マハテイール・マレーシア前首相など、各界で活躍するリーダーの講義を受けた。今回は、講師を務められた経済同友会代表幹事・北城恪太郎氏と三菱商事社長・小島順彦氏に次世代のリーダー論を語って頂きました。 【高校生に願うこと】 北城氏・・・アジアの若者は、より良い生活を目指して常に挑戦をしている。しかし日本は豊かになり過ぎ、若者の意欲がなくなっているように見える。だからこそ高校生はもっと目的意識を持たなければならない。 小島氏・・・中国に行くたびに、中国の若者の勢いを実感し、「次の日本の経営者教育は高校生の頃からやらないと遅すぎる」と痛感している。高校生には中身のある議論ができ、自己主張できる人になってほしい。 【日本の教育に願うこと】 北城氏・・・時代は変わっている。しかし、その変化に学校や親が気づいていないのが問題だ。学校や親はリスクのない人生を選ばせようとするが、「新しいチャレンジをすることは良いことである」と教えるべきだ。様々な分野の人と接する機会を与え、「社会に出たら、こんな仕事があるのだ」ということを示すべきである。 小島氏・・・これまでは「良い大学に入り、良い企業に勤めるのがいいことだ」という時代だったかも知れないが、今や「良い大学」・「良い企業」が何か分からなくなっている。今こそ、「リスクをとらない教育」から「志を持つ教育」へと変わるべきである。そして、自分の人生をどのようにしたいのかが分かる人間を育てなければならない。 【若い社員に望むもの】 北城氏・・・自分のビジョンを持ち、自分が何を言いたいのか考え発言できるコミュニケーション能力をもち、熱意のある人間になって欲しい。 小島氏・・・上の人の言うことばかり聞く社員ではダメだ。しっかりと議論ができ、上に対して意見が言える「かわいくない社員」をたくさん持つことが今後の経営のポイントになる。 【経営者に望むこと】 北城氏・・・トップは何を考え、方向性はどこかを伝えなければならない。そして能力のある若い人にもっと挑戦させ、もっと褒め、育てていかなければならない。 小島氏・・・「俺の背中を見て、ついて来い」なんてことはもう古い。もっと若い人とコミュニケーションをとる事が大事。彼らを知ることで、今のマーケットを知ることができる。 【今後の経営】 北城氏・・・今は景気回復基調をいかに持続させられるかを考える時期。刻々変わる顧客のニーズを捉え、早く実行し、ダメなら軌道修正できる企業文化を創ることが大切だ。 小島氏・・・三菱商事の7〜8割の収益は、輸出輸入の代行ではなく事業投資だ。そのため自ら事業経営できる人間をどれだけ育てられるか、時代を先取りできるビジネス感度の高い人を何人作れるかが、今後ますます重要になってくる。 【次世代リーダーにささげる言葉】 北城氏・・・「自由闊達」。上手くいかなくても、やればできるという明るく・楽しく・前向きな気持ちを持ってほしい。 小島氏・・・「Capacity・Character・Communication(3つのC)」。自分の能力を高め、人間として魅力のある、世代や会社や国を超えたネットワークをもつ人になってほしい。 |