ゲスト一覧

第295回 2006年8月26日放送 壱番屋 浜島 俊哉 社長

日本人にとってカレーライスは国民食かもしれない。平均すると日本人は週に一度はカレーライスを食べている計算になるそうだ。タイカレーやインドカレーなど様々なカレーがあるが、やはり一番人気のカレーは家庭で作る日本のカレー。そんな日本のカレーを作り、日本最大のカレーチェーンに成長したのがCoCo壱番屋、通称「ココイチ」だ。現在、全国に1059店舗を展開(2006年8月時点)。ココイチに次ぐ業界2位のカレーチェーンは45店舗に過ぎず、壱番屋は傑出した存在であること分かる。

ココイチの成長の理由は何か。平均客単価は750円と決して安くはないが、昼時には行列も出来る人気ぶりだ。店内に入ってメニュー見ると、その人気の一端が分かる。トッピングが非常に豊富、全部で37種類に及ぶ。トンカツなどの定番モノからキムチや納豆といったユニークなものまで並んでいる。「アルバイトの人は毎日カレーを食べているが、そればかりだと飽きるので、それぞれが色々なトッピングをして楽しんでいる。そんな中で誕生しているものもある。納豆もその一つ」と教えてくれた壱番屋の浜島俊哉社長(46歳)。「このトッピングを付けて、自分好みのカレーにしてもらう」という楽しみを客に提供すると同時に、トッピングをオーダーしてもらうことによって店の利益にも繋げているのだ。

勿論、カレーの味にも人気の秘密はある。1号店のオープン(1978年)から味をほとんど変えていない(辛さは10段階)。「家庭のカレーが一番。2番にココイチのカレーが入って欲しいと思っている」と浜島社長は話す。ただ、家庭のカレーにはないココイチのカレーの魅力はやはり多くのバリエーションを持っていること。「家庭では子供の為にお父さんが甘いカレーを食べたり、お父さんの為に子供が辛いカレーを食べることがあるが、ココイチに来てもらえば、お子さんは甘いカレー、お父さんは辛いカレー、お母さんはヘルシーなカレーなどそれぞれの好みのものが食べられる」のだ。また、創業時からほとんど味を変えていないというのも面白い。「美味しいものを作ろうとすると味が変わらないから」と浜島社長は言う。思えば、家庭のカレーを食べるとき「このカレーの味だ!」と思うのはやはり変わらない味。その思いをココイチは家庭用とほぼ同じルー(ハウス食品)を使って作る。カレーの製造工場では煮込みに10時間、その後、マイナス25度で急速に冷凍してから一週間寝かしてコクを作り出し出荷している。

驚くのは、デフレ不況のときも値段を下げていないこと。なぜなら「安売りする哲学が壱番屋にはないから」で、それよりもサービスを大切にしようと考えている。例えば、毎日1500通〜2000通も届くお客様アンケートには全て目を通し、その中からヒントを得て子供用のエプロンの提供を始めたり、店舗のバリアフリー化を推進。一度はメニューから外したカレーを復活させたり(納豆カレーもその一つ)、福神漬けを着色していないものに変更したりもしている。店の作りも、カウンターから調理風景が見えるように厨房を作り、出来立ての美味しさを最大限に感じてもらえるようにしている。また、毎日店舗の抜き打ち衛生検査も行っている。従業員の手や調理器具、食材までもを、90分かけて100項目チェックしているのだ。

こうした細やかなサービスの積み重ねでリピーターを多く獲得し、フランチャイズも含めた全店舗の売り上げは右肩上がりで、売上高は2006年5月期の決算で600億円を突破。ここ10年で店舗数も売上高も倍増している。そして2005年には東証一部上場を果たした。

日本人がこれだけ愛するカレーを世界の人が認めない訳がない。ココイチは2004年6月に中国・上海にも進出。既に6店舗を展開している。浜島社長曰く「どことなく、日本に初めてハンバーガーショップが来たときのような、おしゃれな感覚で捉えられているように感じる」そうで、地元では「ココ」と言う愛称で親しまれている。店内を見ると、日本とは趣が違う。先ず店内が日本のようなカウンター式ではなく、富裕層をターゲットにした高級感漂うテーブル式。しかも、情報が漏洩しないよう、調理場は店内から見えないようにしている。客層も違う。日本の店では男性客のほうが多いが、上海では女性客が圧倒的に多い。中には週一回は来る常連さんもいて、「日本食は美容にいい」「子供も好き」などとたいへんな人気だ。

メニューは、基本的には日本のレシピを持ち込んでいるが、中には「煮込みチーズハンバーグカレー」や「カレードリア」などの上海オリジナルもある。平均客単価は36元(500円くらい)。上海市民の平均的なランチ代(5〜6元、100円くらい)と比べると5倍〜6倍もしているがそれでも客足が絶えない。

「ほとんどの国でカレーは受け入れられるだろう」と見ている浜島社長は、さらに「私は、東アジアを中心に、ココイチのカレーを広めることが任務と思っている」と力強く語る。もしかしたら「寿司」の次に世界制覇する日本食になるかもしれない。

語録 〜印象に残ったひと言〜
  • 一番は家庭のカレー、2番目にココイチのカレーが来てくれればよいと考えている
  • 美味しいものを作ろうと思ったら、味が変わらなかった
  • 安売りする哲学が壱番屋にはない
  • 上海の人たちは、日本のカレーを日本にハンバーガーが初めて入ってきたときのようなおしゃれな感覚で捉えていると感じる
  • ほとんどの国で日本のカレーは受け入れられるだろう
亜希のゲスト拝見

ココイチの始まりは、創業者・宗次徳二さん(現・特別顧問 57歳)と直美さん(現会長 56歳)夫妻が始めた小さな喫茶店でした。「家で食べていたカレーは絶対に美味しい」とカレーを提供する店を1978年にオープンさせたのです。しかし、最初は閑古鳥が鳴くほど客は入らず、自らがさくらになる日々が続きましたが、次第に評判が評判を呼び、店は繁盛、多店舗化に乗り出しました。それからは右肩上がりの成長を遂げ、現在に到ります。

今の社長でいらっしゃる浜島社長は、高校時代に喫茶店でアルバイトをしたとき、あまりにも楽しく「将来は飲食店で働く」と心に決めたそうです。そして20歳のときに入ったのが、まだ4店舗しかなかった『ココイチ』。21歳で店長を任されましたが店をつぶし、降格人事第一号になったこともあるそうです。しかしそのときの想いをバネに才覚を現し、いつしか創業者夫婦から「社長になる覚悟が付いたら言ってきなさい」と言われるまでになりました。その言葉を聞いてから2年半、浜島社長は、社長になったら何が出来るか等ココロの整理をして、2004年6月に社長に就任されました。創業者夫婦からしてみれば「良い人が入ってきてくれた」ときっと喜んでいらっしゃるでしょうね。浜島社長も「お二人の背中をずっと見てきましたから、何を考えているか分かります」と、とても濃い関係が分かります。

第一印象は温和で若く、そのパワーで世界にカレーを広めようとしていらっしゃるのが伝わってきます。本場インドの人が日本のカレーを食べると「これはカレーではない」と言いますが、その他の国ではきっと受け入れられると思います。美味しいものは万国共通ですからね。中国式のカレーのルーも気になる所。

そして何よりも、カレーのことを書いているだけでカレーが食べたくなる私、今晩はカレーを作りましょうか!