第250回 2005年10月8日放送 正社員の人、転職する人、派遣社員の人など、社会に出てからの道は様々になってきている。こうした時代の流れの中で急成長しているのが人材派遣会社。その業務内容もパートからヘッドハンティングまで多岐にわたっている。その中でも急成長している人材派遣会社の1つが『インテリジェンス』だ。人材派遣から転職の支援までを手掛ける人材総合サービス会社である。1989年に現社長の鎌田和彦さんを含む4人によって設立されたインテリジェンスは、いまや転職支援の分野で業界2位。登録者数は50万人を超え、毎月1万人が新規登録するという。 東京・丸ビルに本社を構えていることからもインテリジェンスの勢いが伺える。転職希望者との面談する個室が70室も用意されているが、それでも不足しているため、現在さらに45室を増設中だ。それにも増して、転職支援をする会社が東京のビジネス街のど真ん中で仕事をしていると聞いて、時代の流れを感じる。 インテリジェンスが急成長を遂げている背景には、きめ細かなサービスがある。キャリアコンサルタントと名付けた専門の相談員が200名もいて、転職の相談に訪れた人に対してマンツーマンで対応する。それぞれのスキルやキャリア、志向性などを総合的に判断して、その人にはどういう仕事が向いているのかを導き出し、インテリジェンスと取引のある5000社超の企業の中から、最適な企業・仕事を無料で紹介する仕組みだ。毎月、1000人程度が転職に成功しているという。 実際に転職が成功すると、インテリジェンスは採用する側の企業から、その人の年収の35%分を成功報酬として受け取る。成功報酬としてはかなり高く感じられるが、これだけのコスト負担にも関わらず、企業側が採用活動をインテリジェンスにアウトソーシングするのにはワケがある。つまり、必要な人材を広く募集し、面接や選別などの過程を経ていくと結果的にはかなり負担が重くなると考えている。それならばインテリジェンスにアウトソーシングして適切な人材を紹介してもらう方が、35%という手数料を支払っても割安だと判断しているわけだ。 転職希望者はますます増加傾向にある。「年収アップ」や「自分の可能性を試したい」などの理由から、一般的に新卒者のうち30%は3年で離職、大手企業でも20歳台の離職率は10%にも及んでいる。一方、企業側も長期に及んだ不況で採用をかなり抑制してきたため、ここにきての景気回復で人材不足が表面化。採用抑制で手薄となっている中間層の中途採用に躍起だそうだ。インテリジェンスの面談室が不足するのも頷ける。 インテリジェンスのもう1つの事業の柱が人材派遣サービスである。この分野も忙しいようだ。派遣やアルバイトというと、最近なにかと話題になるのがフリーターの存在。厚生労働省の調査では2000年に入ってから200万人を超えている。昔のように定職につかなくても食べていける、それだけ豊かな時代なのだろう。しかし、鎌田さんは「彼らは決して怠け者なわけではない。俳優になりたいなどの夢を実現するために定職につかなかったり、自分は何をしたいのか模索している人が多い」と一定の理解を示した。実際、フリーターと呼ばれる人たちも30歳代で定職につく割合が高いそうだ。 フリーターの話はともかく、働く意識や形態は確かに多様化しつつあると思う。2004年4月からスタートした改正派遣法では、派遣分野が製造業や医療関連業務にまで拡大された。今後、さらに派遣分野が広がっていくことになるのだろう。ただ、鎌田さんは「派遣社員などに対する社会保障の充実が望まれる」との考えを強調した。工場などで働く場合、怪我をしてしまう恐れもあるが、正社員に比べ保険の面などで不利になるケースも少なくないという。常用雇用者か非常用雇用者かによって保険や年金など社会保証の面で区別せず、多様な働き方を認める社会作りが必要だと持論を展開された。 |