第174回 2004年4月17日放送 タコは西アフリカから、甘エビはグリーンランドからの輸入・・。まさに日本は「食の輸入大国」である。その一方で、BSEや鳥インフルエンザ問題、さらには表示偽装事件も後を絶たず、「食の安全」への関心が高まっている。そこで今回は、冷凍食品トップのニチレイ社長・浦野光人さんに「食」について伺った。
浦野社長は、人類は常に「食と安全」という問題に直面してきたのだと言う。腐敗との戦い、農薬との戦い、添加物問題、偽装問題など。こうした中、ニチレイは、消費者が食に安心できるよう「安全の面で大丈夫と思われるブランド作り」に力を入れている。以前は工場の中だけの安全管理だったが、今では原材料にまで遡って素材自体に責任を持てる体制を整えつつある。コストはかかるが、その分は他の無駄を省いて対処している。 安全性を追及する一方で新たな商品開発にも力を入れている。キーワードは「こだわり」だ。例えば「上等洋食シリーズ」は有名レストランのシェフの味を冷凍食品にしたもの。例えばロールキャベツは調理時間は25分と、これまでの手軽で安い冷凍食品のイメージとは全く違う。ニチレイは様々な食生活への対応を試みているのだ。
ニチレイは中国にも進出している。共働きの多い中国では、これまでも朝食用の水餃子などの冷凍食品はあったが、全体を見ると「まだ夜明け前」だと浦野社長は言う。しかし「コメ」という共通の文化をもち、電子レンジが普及(上海での普及率は約90%)していることから、日本企業にとってのビジネスチャンスは非常に大きいと見ている。
中国市場を開拓するための商品の1つが「丼」。味付けは中国人に合わせているが、白いご飯の上におかずを乗せるという中国にはない日本の食べ方を紹介したところ、消費者の評判はまずまずのようだ。そして、冷凍食品トップメーカーの浦野社長は最後に意外なことをおっしゃった。「冷凍食品だけでなく料理をちゃんと作るというのも大切ですよ」と。 |