第171回 2004年3月27日放送 今週のゲストは、出版不況が長く叫ばれている中で、異色の市場開拓を行っている「主婦の友」社の神田高志常務。神田氏は1946年生まれの57歳。大学卒業後、主婦の友社に入社し、販売、広告、出版事業畑を歩き、99年から常務。読者はどんな雑誌・内容を求めているかをリサーチし、ついにアジアに日本のファッション誌を売るところまで行き着いた。 神田さんが目をつけたのは、中国市場へのファッション雑誌の参入だ。きっかけは、約10年前に中国の雑誌社からファッション写真の借用を申し込まれたことだった。中国でもファッション誌が売れる時代になった事に興味をいだき、中国の本を取り寄せてみると、まだほとんど雑誌の写真は白黒。上海などでは所得水準があがり、ファッションや化粧、おしゃれに気を遣いお金をかける女性が増えていることを知って、日本のファッション誌を中国で売ることを思いついたのだ。 95年。日本版「Ray」を中国版「端麗」に衣替えして売り出すと、たちまちベストセラーに。今や日本国内が34万部なのに、中国では56万部売れているという。表紙は日本版と全く同じで、内容は6割が日本のもの。4割が中国版。日中の編集者が話し合いながら発行し、価格は日本の約半額の300円。「国や歴史は違うが、中国女性も市場調査をすると”小顔になりたい””目を大きくみせたい””ブランドものが好き”など、体型や皮膚の色が似ているせいか、日本人と似ているし根っこは同じ。今年からタイ、台湾でも日本版を発行する予定」と述べている。 中国では、3月6日に放送した中古ピアノが売れているほか、ゴルフ用品も人気という。中国が戦後日本の高度成長期の歩みの中にいることを考えると、日本の消費動向の後を追っているとも考えられる。中国への進出のヒントは家電や自動車だけでなく、今や雑誌、レジャー用品にまで及んできたことを教えてくれた。 |