井野良子は女優になることだけを目的に生きてきた。劇団にも合格し、新しい未来が開け始めたと同時に、恋人・則夫との間に亀裂が生じ始める。華やかに変わり始め、新しい恋人の存在をも感じる良子に嫉妬した則夫は激しい独占欲で良子を束縛する。 女優になったら週刊誌に2人の写真を売りつけると脅された良子は、自分の夢を打ち砕こうとする則夫に殺意を抱く。 女優を諦め結婚することを約束して、良子は則夫を温泉旅行に誘い出す。そして草津山中で則夫を絞殺する。 すべての証拠を処分したものの良子にはひとつの不安が残る。草津へ向かう車中で、則夫の知人・貞子に顔を見られてしまったのだ。 年月が流れ、事件の記憶も薄らいだ頃、良子は女優として初めて脚光を浴びる。脇役で出演した映画で新人賞を受賞、さらにテレビの連続ドラマの主演に決まり、良子に夢にまで見た女優への道が開けたのだ。 訪れたチャンスを前に良子は、たったひとつの不安を取り除くため、ある決意を固める…。