松本清張サスペンス特別企画「霧の旗」
この番組は終了しました
兄の弁護を断られた娘が高名な弁護士に過酷なまでの復讐を果たして行く様を描く。
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兄の弁護を断られた娘が高名な弁護士に過酷なまでの復讐を果たして行く様を描く。
刑事事件を専門とする弁護士・大塚欽三は若い時分から正義感溢れ、人権派と呼ばれたこともある。自分の弁護士事務所を持って、日本有数の敏腕弁護士となり、社会的な地位も上がった今でも、凡百の弁護士よりは誠実に仕事に向き合っていると自負していた。多くの訴訟を抱え、忙しい日々を送る大塚は久々の休暇を取ることにした。大塚には径子という愛人がおり、その径子を伴って一泊のゴルフ旅行に出かける予定だった。旅行に出かける日、若い女・桐子が大塚の事務所を訪ねてきた。金貸しの老婆を殺したとして起訴された兄・正夫の弁護をしてほしいというのである。桐子は兄が無実であると確信しており、優秀な上に報酬にこだわらず戦うという大塚の評判を聞いて、わざわざ青森から出てきたのだ。大塚が東京から出向いて裁判をするには500万以上かかるが、桐子には100万円しかない。大塚は多忙を理由に桐子の依頼を断った。翌日の朝、桐子がどうしてももう一度大塚に会いたいと言って、再び大塚の事務所を訪れた。事務員の奥村が大塚の戻りは夕方になると言うと、桐子は大塚が戻るまで事務所で待つという。6時間後、事務所に電話を入れた大塚は奥村から報告を受けるが、奥村の薦めに従って事務所に戻るのを止め、奥村に桐子の依頼を断るのを任せた。桐子は兄の無実と、お金がないために無実の人間を見殺しにするのかと訴えるが、奥村が取り合おうとしないため、怒りを抑え、思い詰めた表情で帰っていった。1年後、大塚に桐子から葉書が届いた。そこには、兄が一審で死刑判決を受け、控訴したが二審を待たずに拘置所で病死したことが書かれていた。心が動いた大塚は正夫の事件を独自に調べ始めるが、それが自身の破滅に繋がる行為であるとは思いもよらなかった。