長く孤独な誘拐
息子を誘拐した犯人の要求で、別の子供を誘拐した夫婦の運命を描く
息子を誘拐した犯人の要求で、別の子供を誘拐した夫婦の運命を描く
とある小さな漁港。日焼けして仕事をしている男がいる。男の名は森脇耕一(上川隆也)。彼が乗る漁船が横付けされた岸壁に一人の少年と女性が駆け寄る。少年は耕一の息子・耕平(鎌田拓充)、女性は妻の和代(羽田美智子)だ。今は幸せなこの家族に予想だにしない出来事が起こったのは3年前のことであった。耕一は、住宅販売会社の優秀な営業課長であった。彼を始めその仲間たちの頑張りで、新築の住宅が完売した。そこまでは、彼の人生は順風満帆であったのだ。しかし、一本の電話。それが彼の人生を変えた。彼らが販売した住宅に欠陥があり、各所からクレームがあったのだ。調べた結果、発注したものと明らかに違う工事が行われていた。会社に事実を突きつけた彼は、逆にコストを下げて利潤を得るのは当然だと、誰も取り合ってくれない。そればかりか、リストラ対象となり、関連会社への出向に・・・。そして、その日がやってきた。耕一の携帯電話が鳴る。電話は妻の和代だ。何と耕平が誘拐されたらしいというのだ。急いで家に帰る耕一。そして、今度は家の電話が・・・。急いででた和代に、電話の主は語る。「お前の息子を誘拐した!」と。和代に代わり電話に出た耕一に犯人は告げる。「指定した公園に置いたパソコンを見て、そこに記された子供を誘拐しろ!」と。指定された子供のデータは、羽村裕貴也(田中碧海)6歳。そして犯人は、誘拐のやり方まで詳細に電話で指示してきたのだ。警察に知らせると息子の命はない。やむを得ず、犯人が指定する裕貴也くんを誘拐する夫婦。その後、犯人が様々な指示を電話でしてきて、その指示通りに動くのだが、何と最後の身代金受け取りのところで突然計画は中止。そして、犯人は耕一に「裕貴也を殺せ!」と告げるが・・・。