あるホテルの一室で、大物政治家・銭谷貫一が、“政界のプリンス”こと朝友政時を弾みで殺してしまう。女優との醜聞を楯に政治的に有利な立場に立とうとする銭谷の要求を、朝友が拒んだ所為である。殺害後、我に返った銭谷は元愛人で、今を時めくマルチ評論家・景高水音に電話し、犯行を自殺に見せかけるよう偽装を依頼。水音はアメリカで犯罪学を学んだ経験があったのだ。政界進出を狙う水音は、次の選挙でトップ当選させてもらう事を条件に銭谷の頼みを引き受けた。翌朝、銭谷とホテルマンが第一発見者として通報されたこの事件に、本庁一課から野呂盆六が派遣される。捜査に当たった野呂は、通話記録に着目した。朝友と銭谷、水音の見えない糸に気づいた野呂は銭谷に食い下がるが、水音の偽装工作は隙が無く決定打が見つからない。