今週のドクターは、 代々木睡眠クリニック 院長 井上 雄一先生
【略歴】
鳥取大学医学部附属病院講師
【ドクターの一言】 睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病の一つと言えるでしょう。早期に発見し治療を始めれば治るのでご家族のいびきに注意しましょう。
以前にも、健康DNAで御紹介したカプセル内視鏡ノリカ。このノリカには、体内が撮影出来る小型カメラが搭載されています。そのため、薬のように飲み込むだけで、消化器官の中をクリアに撮影。リアルタイムで、体の外にあるモニターに映し出します。口から入ったノリカは、映像を送信しながら、胃から十二指腸へと移動していきます。一般の内視鏡より、特に優れているのは、従来撮影が困難だった、小腸の中も見られること。今回、このノリカが、撮影・送信してきた体内の映像が、初めて公開されました。ノリカは小腸の中へ。従来の内視鏡では、撮影が困難だった小腸。その曲がりくねった内部を撮影出来るばかりか、非常に鮮明に映し出しせます。さらに、ノリカは小腸を抜けると、大腸の入り口付近まで下降してきました。ノリカは食道から大腸まで、全ての消化器官の内部映像に成功したのです。今後は、電磁コイルをノリカに組みこみ、磁力を使って体の外から自由にコントロールする。それが新たな目標となっています。さらにわずか23ミリのノリカに、薬やレーザーを内蔵して、治療や手術を行う計画もあります。体内を自在に動き回るノリカ。その更なる進化に、益々期待が高まっているのです。 2004年8月、インターネットで全国の独身男女およそ1000人を対象に、アンケートが実施されました。その質問内容とは・・・「自分は結婚するかどうか?」について!その回答結果から、全体の36%が結婚については消極的、という事実が明らかになりました。また、「いずれ結婚したい」と答えた人も、そのうちの70%は具体的な行動を取っているわけではなく、結婚に消極的だったのです。前向きな姿勢はあまりうかがえません。しかし、消極的な皆さん!次のデータを聞いても、積極的にはなれませんか?「結婚は健康の秘訣!」アメリカの疾病対策センターが、こんな発表をしたのです。全米に住む、18歳以上の12万7500人が答えた、大規模調査によるデータから明らかになりました。「健康状態があまり良くない」と答えた人が、結婚生活を送っているグループより、送っていないグループのほうが、1.5倍と多かったのです。そればかりか、喫煙率も結婚をしていないグループ方が高く、さらに頭痛や腰痛、精神的ストレスといった体調不良も結婚していないグループの方が多いという結果が出ました。この結果から、「結婚は健康に良い」ということが、導き出されたのです。まだ結婚していない皆さん、結婚というものを、健康面からも考えてみませんか?
あなたは毎日、よーく眠れていますか?なんと1000万人もの現代人が自分の睡眠に満足していない、といわれています。寝床についてもなかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める・・・などの、「満足に眠れない」という期間が1ヶ月以上も続く・・・これはもう、慢性的な不眠!常にだるくてしかたがない・・・集中力や思考力が落ち、仕事も全然進まない・・・などと、日常生活に支障が出てきてしまいます。これがまさに『不眠症』なのです。では、よく寝たーと思える時と、思えない時どこがどんなふうに違うのでしょう?睡眠には、脳が休んでいるノンレム睡眠と、脳が活動しているレム睡眠の二種類があるのはご存知ですね。こちらは、よく眠れたときの睡眠の状態。脳を休ませるノンレム睡眠は4段階あって、数字が大きいほど深い眠りとなります。満足な眠りが得られた時には3〜4の段階の深いノンレム睡眠がある程度途切れずに続きます。しかも、1〜2の段階にある浅いノンレム睡眠と、脳が活動しているレム睡眠が適度な間隔で現われているのです。そして深い睡眠と浅い睡眠を合わせて90分、このリズムを繰り返します。それが乱れると、満足に眠れないと感じます。実は、脳の老化が、大きく関係しているのです!こちらは、成人の脳が一日の中でどのように活動しているかを示したグラフです。当然、寝ているときには下がり、起きているときには上がっています。起きている時は、脳が活発に活動し、寝ている時には脳の活動が弱くなっていることが分かります。ところが高齢者は寝ている時には、脳が十分休息をとれず、昼間は活発に活動していないことが分かります。脳の中で睡眠を司っているのが脳幹部といわれる場所。この脳幹部の指令によって、大脳が休息をとる。これが睡眠なのです。ところが、脳が老化すると、睡眠をとりなさい、という指令がうまく伝達されなくなります。これは、指令を送り出す脳幹の神経と、指令を受け取る大脳の神経が共に老化によって衰えてしまうからなのです。深い睡眠がとれなくなるため、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまいます。しかし、もちろん老化だけが不眠の原因ではありません。気になることや、精神的にショックな出来事があると、眠れなくなったり、眠りが浅くなったりしますよね。これは、ストレスが原因の不眠です。ストレスがあると、全身の交感神経が活発になります。これは、ストレスに対抗するため体の活動を活発にしようとするためです。しかし、身体だけでなく、大脳の活動も活発にするため、休みなさいという指令が無視されてしまう。それで、眠れなくなるのです。ストレスの元さえ解決すれば通常はまたよく眠れるようになります。問題は、心配事がなくなったのに不眠だけが続いてしまう場合。1ヶ月以上も、寝つきが悪くなる「入眠障害」や、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」が続きます。さらに、眠りが浅くなるため、朝早い時間に目が覚めてしまう「早朝覚醒」が起こる事もあります。実は、不眠を訴える人の中で最も多いのがこのタイプ。「精神生理性不眠」です。一度つらい不眠を経験してしまい、「また眠れないのでは…」という心配が本人も気付かない新たなストレスとなり、不眠が続くのです。他にも、不眠の原因はあるんですよ。これがなんだかわかりますか?睡眠中の喉。それもいびきをかいている喉の様子です。喉が狭くなって振動しています。大きないびきが急にやんだかと思うと、またあえぐような大きないびきが始まる。こんな人も、本人が知らないうちに不眠になる可能性が!!それは、睡眠時無呼吸症候群です。いびきは、空気の通り道が狭くなる事によって起こっています。いびきが止まっている時は、空気の通り道が完全に塞がっているため、なんと呼吸も止まっています。呼吸が10秒以上止まると、睡眠時無呼吸です。時には1分半を越えることもあります。この時、当然脳は酸素不足になっています。睡眠中、本来は休息しているはずの脳は、酸素を取り入れようとして目覚めます。実はこの時、本人は気付いていなくても、眠りが断ち切られています。ひどい場合は、なんと一晩に300〜500回、繰り返されるのです。本人はぐっすり寝ていたつもりでも、脳はほとんど休息できていないため、身体は不眠の状態に!!昼間に強い眠気が起こります。睡眠時無呼吸症候群は、布団に入ったときに寝つきが悪くなることがほとんどありません。そのため本人自身は不眠に気付きにくいというのが大きな特徴です。足がむずむずする、虫がはっているような不快感で目が覚める!!不快感の他にも、かゆみや痛み、だるさ、そして、ほてったような感じがすることも!それが、不眠を引き起こす「むずむず脚症候群」です。むずむずが起こるのは、主に太ももやふくらはぎ。原因は明らかではありませんが、むずむずした感覚は、横になるなど、安静の状態のとき強く起こります。さらに、夜が更けるにつれて悪化するという特徴もあります。このむずむずに関係しているのが、脳内の物質、ドーパミン。ドーパミンは、脳の中から、全身の筋肉への指令を伝えています。このドーパミンが正常に働かなくなると、むずむずが起こると考えられています。足のむずむずは、動かしたり触ったりすると解消するため思わず脚を動かします。そのため、寝つきが悪くなります。さらに、眠っている間にも勝手に脚が動くため、そのたびに眠りは寸断されます。このむずむず脚症候群は、高齢者に多い症状です。健康の基本は睡眠。すっきりした毎日を送るためにあなたの睡眠を、もう一度見直してみてください。
私たちは、普通に生活していると、いつも大体決まった時間に目が覚め、決まった時間に眠くなります。朝、目覚めてから、昼間歩く、仕事をする、食事をする、など、いろいろな活動をして、夜になると眠りにつき、また目覚めて・・という一日が、太陽の動きと同じ24時間の周期で繰り返しています。それをコントロールしているのが、「概日リズム」です。このリズムは、脳の視床下部にある視交叉という場所が作り出すと考えられています。この脳が作り出すリズムが狂って、不眠が起こるのです。それが、「概日リズム性睡眠障害」です。65歳の女性Aさんは、睡眠の時間が、通常よりもはやく訪れるタイプのリズム障害です。概日リズムに従うと通常、睡眠時間は、夜10時〜朝6時です。高齢者の場合は、それが早い時間にずれることが多く、ひどい場合はAさんのように、夜6時に寝てしまい、深夜1時に目が覚めます。この、睡眠時間が速い時間にずれて固定された状態を、睡眠相前進症候群といいます。一方、思春期の若者に多いのが、睡眠の時間が後ろにずれてしまう事。これを、睡眠相後退症候群といいます。朝、5時〜7時ごろ眠りに入り、お昼の12時〜2時にようやく目が覚めます。睡眠の時間が、大幅にずれているため、普通の社会生活が送れなくなります。38歳のBさんは、毎日1時間ずつ、睡眠時間がずれてしまうタイプ。通常は、太陽の動きに合わせて、概日リズムは常に24時間で調整されています。しかし、実は本来、脳は25時間というサイクルで活動しているのです。脳の視床叉は、太陽の光を感じると、14時間後に眠りが起こるように、脳の活動をリセットします。こうして、24時間の「概日リズム」が保たれます。しかし、光を感じても、脳の活動がリセットされないで、25時間のままになると、睡眠時間は1時間ずつずれていくのです。これを「非24時間睡眠・覚醒症候群」と呼んでいます。辛いのは、睡眠時間がずれて昼夜が逆転してしまった時。眠気におそわれるばかりか、集中力や思考力の低下が起こります。1日は24時間。そのリズムに身体がうまくのれなくなった時、睡眠障害は私たちの日常生活を根本から脅かすのです!