今週のドクターは、 土谷総合病院 腎高血圧内科 土谷 晋一郎先生
【略歴】
【ドクターの一言】 神秘的に素晴らしく高性能な自分の体を我々は粗末に扱っています生まれた時から持っているので価値に気付いていないのです。体にとってプラスの生活習慣をして健康は自分で守る気持ちが大切です。
がん、心臓病、脳卒中につづいて、日本人の死亡原因 第4位!!そして、そのうちの9割は65歳以上!!それが、肺炎!!炎症を起こした肺の一部が白く映し出されています。せきや痰など風邪に似た症状から、やがて呼吸困難になり死に至ります。肺の末端部にある肺胞という場所が細菌やウイルスによって炎症を起こします。お年寄りには深刻なこの肺炎をあることをすれば予防できると発表したのは、元東北大学医学部の佐々木英忠教授らの研究チーム。実は、1日3回の食後の歯磨きが肺炎の予防に効果があるというのです!磨くときの注意は、歯茎をしっかり磨くこと。これが、肺炎を防ぐことになるそうです。佐々木教授らは、国内8箇所にある養護老人ホームの366人のお年寄りを2年間に渡って調査しました。まず、「歯のある人」を、1日3回歯茎まできちんと磨く人と、歯茎を磨かない人とに分けて、肺炎の発症率を比較したところ・・・歯茎をきちんと磨いている人は、歯茎を磨かない人に比べると、肺炎の発症率が、何と40%も低いことが分かったのです!さらに、「総入れ歯の人」の場合も同様に、歯茎を磨いている人の方が、肺炎の発症率は40%も低かったのです。実はお年寄りの肺炎は、喉の働きの低下によって口の中の常在菌が唾液と一緒に肺に入り込み、炎症を起こす「誤えん性肺炎」が多いのです。佐々木教授は、「歯茎を刺激する事で、喉の働きが回復し、結果として肺炎を防ぐ効果が出た」と分析しています。1日3回、歯茎を磨いて肺炎予防、是非、実行してください。 多くの病気の発見に役立つ血液検査。病院でも必ず血液を採取されますが・・・肝炎や肝硬変など、肝臓の機能の低下を調べるためのγ-GTPは、専門の技師による大掛かりな分析装置を使った検査を行うしかないのが実情です。そのため、検査の結果が出るまで時間がかかり、患者は、数日待たなければ検査結果を知ることはできませんでした。そんな血液検査が、わずか10分でできる画期的な血液分析システムが開発されています。装置の重さは、およそ7.5sで、家庭用のプリンタとほぼ同じ大きさ。分析は全自動で行われ、難しい操作は一切必要ありません。秘密はこの「バイオチップ」。これによって、わずか一滴の血液で検査を行うことが可能になったのです。バイオチップには、血液が通る細い道が作られています。この小さな穴から入った一滴の血液が、細い道をたどりながら、検査薬と混ざり、検査に必要な成分に振り分けられて行きます。最終的に、この右側の部分にたどり着いた血液成分が、分析されるのです。10分間待つだけ!自動的に結果が表示されるのです。在宅の医療システムにも大きく関わる画期的な血液分析装置。現在、2年後の実用化を目指し、検査項目を増やすなどの改良が続けられています。
“4人に1人”この数、一体何だと思いますか?実は、高血圧の患者の数なんです。現在、日本では、4人に1人、およそ3500万人が高血圧!!。しかも、50代以上になると、高血圧の人は何と、40%以上を占めるようになります。恐ろしいことに6割の人が、治療も受けずに高血圧をほったらかしに!さらに、30代〜40代でも5人に1人が高血圧で、しかも増えていますが・・・なんと、8〜9割の人がほったらかし!!治療を受けていないというのです!高血圧は、命をおびやかす病気を招きます!脳梗塞・・・狭心症に心筋梗塞。どれも取り返しのつかない重病!では、高血圧とは一体何か?もう一度確認しましょう。日本高血圧学会の基準によると、正常血圧は、上が130未満かつ、下が85未満。もし、上が140以上か、下が90以上の状態が続くと、高血圧です。この間は、正常高値血圧といい、高血圧に移行する危険性が高い数値です。血圧は、少しぐらい正常値を越えたからといって、すぐに高血圧だとは判断できません。ちょっとしたことですぐに変わるのが血圧。家事などで身体を動かしたり、職場で緊張していたり、怒ったときだけでなく、いいことがあったときの感情の起伏にさえ、影響を受けるのが血圧です。血圧は一日中、常に変化しているということですね、通常、血圧は、寝ているときが最も低く、朝起きてから上昇し始め、日中は高い状態を保ち、夜になって再び下降します。血圧を変化させる原因は実にたくさんありますが、急激な温度変化にも大きな影響を受けます。例えば、お風呂。お湯の温度が40度の場合、湯船につかってからたった2分で血圧は50以上も上昇します。さらに、冬場、温かい室内から寒い外に出るなど、温度差が5度以上あると、血圧は、一気に40以上も上昇することがあります。では、高血圧の人が一番気をつけなければいけないのは?それは、アテローム血栓性動脈硬化です。アテロームというのは、悪性に変化した血液中のコレステロールが、血管の壁に入り込み・・・やがて、お粥のようなどろどろした塊に変化したものです。これは、動脈硬化を起こした血管をとらえた貴重な写真。うっすらと写っているのが、コレステロールによって厚くなった血管の壁です正常な場合は、血管の壁の厚さはほんのこれだけのはずなんです。アテロームによって、血管の壁が内側から持ち上げられると、血液の通り道が狭くなります。その分、血管の壁は、血圧の影響を受けやすい状態になってしまいます。その上、内側から持ち上げられた血管の壁は、薄く、破れやすくなっています。この時、高血圧の状態が続いていたり、血圧が急激に上昇すると…、血管の壁が破れ、中のアテロームがあふれ出して血管の壁にこびりつきます。すると、その傷を修復するため、血液中の血小板が集まり、血の固まり、血栓が作られます。このアテロームと血栓によって、ひどい場合は、血液の流れが完全に止まってしまいます。これが、アテローム血栓の恐ろしさです。動脈硬化は全身のあらゆる血管で起こりますが・・・アテローム性の動脈硬化は、大動脈や脳動脈、心臓へと血液を送る冠動脈など、大切な太い血管から起こりやすいといわれています。もし、脳へ血液を送る首の動脈、頚動脈や脳の血管、脳動脈が、アテローム血栓によって詰まると、脳が活動するために必要な血液が、不足します。脳の血液が足りなくなった場所は、死んでしまいます。これが、脳梗塞です。さらに、心臓へと血液を送る冠動脈がアテローム血栓で詰まると、心臓の筋肉が血液不足で死んでしまう、心筋梗塞が起こります。アテローム血栓性動脈硬化を始め、高血圧は、命をおびやかす引き金となる危険な症状。あなたの血圧、放っておいて本当に大丈夫ですか?
メタボリック・シンドロームという言葉が注目を集めています!このメタボリック・シンドロームとは、高血圧が糖尿病を、糖尿病が内臓肥満を、内臓肥満が高脂血症を・・・と、4つの病気が次々と同時に起こり、互いを悪化させる状態です。動脈硬化が悪化しやすくなり、心臓や脳などの病気で命を落とす危険が急激に上昇します。メタボリック・シンドロームの鍵を握るのが、すい臓から分泌されるインスリン!インスリンと聞くと、すぐに思い浮かぶのは糖尿病ですが、実は、インスリンは高血圧とも深い関わりがあったのです。インスリンというのは、肝臓や筋肉の細胞に働きかけて、「エネルギー源として、血液中のブドウ糖を細胞に取り入れよ」という指令を出しています。その指令が妨害され、ブドウ糖が細胞の中に取り入れられなくなる状態を、「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が起こると、これに対処しようとすい臓から大量のインスリンが分泌されます。すると、インスリンが血液中でだぶついてしまう、高インスリン血症となります。何と、この状態になると、塩分が排泄されにくくなり、血液中の塩分濃度が上昇します。こうして、インスリンの大量分泌が高血圧を招くのです。実は、インスリンは、一酸化窒素という物質を作るために、なくてはならないものなのです。インスリン抵抗性が強く起こり、インスリンの働きが悪くなっていくと、一酸化窒素が作られなくなります。そのため、高血圧と動脈硬化が悪化していきます。その上、インスリンが大量に作られると、血管の壁が厚くなり、動脈硬化をさらに悪化させることもわかっています。動脈硬化の悪化によって、心臓や脳の病気で命を落とす危険が急激に上昇していきます。インスリンを軸に、高血圧・糖尿病・内臓肥満・高脂血症は、ともに合併しながら、私たちの身体を蝕んでゆきます。これが、メタボリック・シンドローム。もし、高血圧だとわかったら、この危険なシンドロームを起こさないように、十分気をつけてください。