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2005年1月23日(日)
テーマは『足のしびれ』

今週のドクター今週のドクターは、
済生会福岡総合病院 病院長
岡留健一郎先生



【略歴】

’71年

九州大学医学部卒

’78年 ベルツ賞受賞
’91年 九州 大学医学部助教授
’93年 文部省在外研究員としてシカゴ大学外科留学
’99年〜 九州大学医学部臨床教授併任。現在に至る

【ドクターの一言】
私のモットーは病院のモットーでもある「地域社会の皆様や先生方に信頼され、真の満足をしていただける病院作りをめざす」。今後の病院医療のキーワードは、患者さん中心・安全・責任・情報開示。

【ドクターの著書】
「今日の治療指針 1994年版
       私はこう治療している」
医学書院 1994
「重症虚血肢 その病態と治療法」 ライフサイエンス出版 1993
「救急治療マニュアル(三訂版)」  九州大学出版 1992
「臨床脈管学」 文光堂 1992
「最新血管外科手術100選」 医師薬出版 1991

CONDITION OF ILLNESS 病気と症状のメカニズム

Medical Topics毎日あるものを1個食べると、アルツハイマー病を防ぐことができる?
こんな夢のような研究をアメリカ、コーネル大学を中心とした米韓共同チームがまとめました。そのあるものとは、りんご。それも、新鮮なりんごを、皮ごと食べる方が、効果が期待できるというのです。りんごには、ケルセチンという高い抗酸化作用を持つ物質が大量に含まれています。この抗酸化物質には、細胞が体内の活性酸素によって酸化し、Medical Topics傷つくのを防ぐ働きがあるのです。 アルツハイマー病というのは、脳細胞が傷ついて死んでゆき、脳自体が萎縮してしまう病気です。右側が、アルツハイマー病の脳。左の正常な脳と比べると、白く見える脳の部分が小さくなっているのが分かります。実は今回の研究で、ケルセチンは、特に脳の細胞を守る働きが強いことが分かったのです。 Medical Topicsマウスの脳細胞を使った研究ではもともと細胞の酸化を防ぐ働きが高いとされているビタミンCとケルセチンを比べてみました。すると、ケルセチンの方が脳細胞を保護する効果が高いことがわかったのです。研究チームは、『1日に少なくとも1個のりんごを食べれば体内の一定量が確保できる』と分析しています。ケルセチンが大量に含まれているのは、皮や、皮と実の間。だから、丸ごと一個食べた方がより効果は高まります!研究チームは、今後『人体での働きを慎重に分析する必要がある』とし、さらなる研究を続けています。
Medical Topics犯罪捜査などでおなじみの『うそ発見器』。脈拍・呼吸・汗など、うそを発見する方法はこれまでにもさまざまありましたが・・・。アメリカ、テンプル大学医学部は新たな、うそ発見の目安を研究しています。それは、何と、脳の活動を手がかりとして、うそを見分けるという方法です。研究チームは、9人の被験者を6人と3人の二つのグループに分けました。そのうち、6人の被験者におもちゃの銃で人形を撃たせ、別の被験者3人にはその様子を見守らせました。実は、あらかじめ、銃を撃つ6人には、あとで「撃っていない」とうそをつくように指示しておき、見守っている3人にはありのままを話すように指示していました。こうして、うそをつく人と本当のことを話すMedical Topics人の脳の活動を比較したのです。使われたのは、ファンクションMRI。血流の変化によって脳の活動がわかります。脳が活発に活動しているとその場所が赤く示されます。反対に、脳が活動していないと、青く示されます。この装置を使って調べると、なんと、本当のことを話している人は、前頭葉と側頭葉が活動していることがわかったのですが・・・うそをついている人は、前頭葉の内側にある、怒りや恐れなどのどきどきする感情を司る特殊な場所が活動していることが分かりました。さらに、脳の中で活発に活動していたMedical Topics場所は、本当のことを話している時の4ヶ所に対し、うそをついている時には7ヶ所もあったのです。このことから、うそをついている時の方が、脳の反応の伝達が繊細で、複雑な経路を辿っていることが明らかになりました。この研究は、2004年11月に発表され、うそを発見する新しい目安として注目を集めています。
Medical Topics肥満人口は増加するばかり!2002年の厚生労働省の発表によると、男性で1300万人、女性で1000万人がヒ・マ・ン!!この肥満人口の増加。実は、単に健康問題に留まらず、経済や環境にも打撃を与えていたことが、アメリカ疾病管理センターによる研究で明らかになったのです。Medical Topics肥満の影響をこうむっていたのは、航空旅客機を飛ばすジェット燃料!肥満した乗客の体重が加わると、航空機は、総量にして3億5000万ガロン。なんと、13億3000万リットルもの燃料を余分に燃焼していたことがわかったのです。これによって、余分にかかるコストは、2億7500万ドルMedical Topics日本円にしておよそ300億円にもなります!さらに、肥満乗客のせいで、380トンもの余計な炭素が空気中に排出され、大気を汚染したと推定しています。乗用車や新幹線だって燃料で動いています。肥満の方、自分の健康問題だけじゃないですよ

Sign of Illness

Sign of Illnessおしゃべりに夢中で、"あ〜足がしびれた・・・"長い間、正座をしていると、足の感覚は次第になくなり、ビリビリとしびれてきます。では、なぜ、足はしびれるのでしょう?長い時間、正座をしていると、足の神経が圧迫されます。さらに、血管も圧迫され、足の神経への血流が途絶えてしまいます。この状態が長く続くと…、足先の神経が麻痺して、しびれてくるのです。ですから、足を崩して圧迫をとれば血流は回復して、しびれは消えていきます。しかし、問題は…正座をしていた訳でもないのに、何となく足が重く、鈍〜いしびれを感じたり…。普通に歩いていてSign of Illnessもピリピリとしびれているような感じがする…時には激しい痛みが起きてとても歩けなくなってしまう!このような、しびれの原因は、一体何なのでしょうか?足のしびれで病院を訪れる人たち、その原因の半数近くは、実は動脈硬化です腰から太ももへとつながる動脈のいずれかの部分に、動脈硬化が起こると、足にしびれが起こります。このSign of Illness時起こる、最も特徴的な症状が『間歇性跛行(かんけつせいはこう)』。歩き始めはなんでもなくても、しばらく歩くうちに腰から脚にかけて、しびれたり痛くなったりして、脚が前に出なくなる。しばらく休むとまた歩けるようになるというものです。何と、アメリカとヨーロッパで行われた調査によると、正常な人に比べて、間歇性跛行を起こしている人は15年後の生存率が50%も低いことが分かっています。Sign of Illnessでは、どうして間歇性跛行が起こるのでしょうか?足の動脈に注目してみましょう。動脈の壁は、3つの層に分かれています。一番内側にある内膜は血流の影響などによって常に傷ついては修復されています。この、内膜についた傷が、動脈硬化の始まりになるのです。この傷には血液中のコレステロールが集まってきます。Sign of Illness本来、コレステロールは細胞の傷を修復するために必要な材料ですから、正しく使われればなんの問題もありません。しかし、血液中のコレステロールの量が多すぎると、傷口に過剰なコレステロールが集まります。これはやがて活性酸素によって酸化され、Sign of Illness変性コレステロール」は、血管の壁にくっついて老廃物となります。これを取り除こうと、白血球の中のマクロファージがやってきます。元々、マクロファージは体内に侵入した細菌などの異物を食べてくれる掃除役です。マクロファージが近づいてくると変性コレステローSign of Illnessルは血管の内膜の傷からさらにその下に逃げ込みます。するとマクロファージも追いかけて、血管の壁の中に入り込みます。壁の中では、コレステロールを食べてマクロファージはどんどん大きくなります。Sign of Illnessやがて、自分で処理できないほど食べ過ぎてしまったマクロファージは、コレステロールと交じって、血管の壁を持ち上げて、血液の通り道を狭めてしまうのです。さらに大きくなると、この膨らみははじけ、血管の中に出てこびりつきます。Sign of Illnessこれが動脈硬化です。 これは、首の動脈、頚動脈で起こった動脈硬化。黄色いのが、コレステロールの固まりです。このように大きくなると、血液の流れが完全に止まってしまうこともあります。こうした動脈硬化が、下半身へ向かう動脈で起こると、足に送られる血液が不足します。Sign of Illnessこちらが実際の画像です。太ももから辿っていくと、腸骨動脈と呼ばれる場所が詰まっていることが分かります。こうして、足へと送られる血液が不足するとどうなるのか…安静にしているうちは、血流もかろうじて保たれているため、しびれが起こらないこともあります。しかし、「歩く」なSign of Illnessど、少しでも運動をすると、ふくらはぎの筋肉が、たちまち酸素不足となります。すると、しびれや痛みが起こるのです。しばらく休んで、酸素不足が解消されると、しびれや痛みは治まります。このように、足のしびれを起こす動脈硬化を、閉塞性動脈硬化症といいます。閉塞性動脈硬化症がひどくなると、夜、寝ているときに強い痛みが起こり始めます。Sign of Illnessこんなときは、足の動脈硬化は相当進んでいます。これは、レーザードップラーという装置で調べた閉塞性動脈硬化症の様子。右の正常な場合と比べると、血管がよく見えず、血液が不足している様子が分かります。こうなると、本来、血液によって足へと送られるはずの栄養も足りなくなってきます。すると、このような潰瘍になったり、ひどい場合は壊死を起こします。閉塞性動脈硬化症のように、足に動脈硬化が起こっているということは、足以外の動脈、Sign of Illnessもしかしたらすでに全身が動脈硬化に蝕まれているかもしれないのです。閉塞性動脈硬化症の人の10年後の生存率を見ると、何と、中等度で60%にダウン。重症だとわずか30%となってしまいます。ただ足がしびれているだけ、と放っておくと、とんでもないことになる可能性も。足のしびれを、あなどってはいけません!!

Sign of Illness
Self Medication

Self Medication

The serious

The serious足のしびれから始まる閉塞性動脈硬化症。これは、全身いたるところに動脈硬化が起きる危険な予兆でもあるのです。もし、心臓へ血液を送る動脈、冠動脈が動脈硬化で詰まると、すぐさま命の危険につながりますThe seriousそれが、心筋梗塞。冠動脈が詰まると、そこから先には、血液が送られなくなります。そのため、心筋梗塞になると、心臓の筋肉はわずか15分で壊死し始め、1時間もすれば、完全に死んでしまいます。では、動脈硬化の治療は、どのように行われるのでしょうか?The serious動脈硬化の治療は、狭くなった血管を拡げることです。そのために使われるのが、ステントです。ステントを、血管の狭くなった場所に入れて、血管を拡げるのです。The serious造影剤を流すと…ごらんのように、血流が回復して血液が行き渡りました。決してあなどれない足のしびれ。放っておくと、突然、心筋梗塞を招く危険もあることを忘れないでください!


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